『週刊ダイヤモンド』7月13日号の第1特集は「(新)OBネットワーク 早慶 東大 一橋 名門高校」です。これまでの“学閥”やOBのつながりの在り様が変容しつつあります。単に親睦のためではなく、実利でつながった新しいコミュニティが生まれてきました。学閥の王者「慶應三田会」などの最新事情、有名大学・高校で拡がり始めた新ネットワークの姿、そして全国大学・高校360の序列の変容を明らかにします。
国政選挙顔負けの「卒業生評議員」選挙

日本の大学は3種類。国公立と私立、そして慶應だ」──。名門国立大学の同窓会幹部がそううらやむように、慶應閥の力は別格だ。
慶應義塾大学における最高意思決定機関、「評議員会」。その4年に1度の改選が2018年に行われ、評議員101人が同年11月に着任した。この評議員の改選システムが、三田会を最強たらしめていると言っても過言ではない。
改選において、塾員(慶應卒業生)のみならず財界からも注目を集めるのが、全塾員の直接選挙で選ばれる「卒業生評議員」の当落だ。大企業の会長や社長、その経験者が大量に立候補するためで、各企業の塾員が所属する「勤務先別三田会」を中心に、国政選挙顔負けの選挙活動が展開される。昨年の選挙戦を、大手不動産会社に勤める塾員は次のように振り返る。
「社内の塾員には自社の候補者への投票を促すメールが回ってきたが、その一方で、慶應出身の直属上司からは、自社の候補者ではなく取引関係にある他社の別の候補者に投票せよ、というお達しがあった。ノルマは自分の票を含めて最低2票。友達や知人の塾員にお願いして投票用紙をもらった」
政治家の選挙よろしく、注目候補者も存在する。前回改選では、福島原発事故時の東京電力社長、清水正孝氏が落選したことが塾員の話題になった。通常は、仮に卒業生評議員選挙で落選したとしても救済策があり、前期の評議員会が選ぶ「推薦評議員」と卒業生評議員とで選出する「塾員評議員」として“復活当選”するのが通例だ。だが、清水氏はそれもかなわなかったわけだ。