洋傘の国内年間消費量は、推計で約1億2000~3000万本

 JR東日本によると、忘れ物の件数は年々増加傾向にあり、2017年度は220万件を超えたという。特に傘については事態が深刻で、広い保管スペースが必要になるうえに、返却率はたった1割程度にしかならない。そこで、JR東日本では、傘の忘れ物の保管期間を2019年度より、3ヵ月から1ヵ月に短縮することにした。

 たしかに、傘はほかの忘れ物よりもかさばる。しかし、ここでまず注目したいのは、返却率が1割程度しかないという事実だ。つまり傘は車両の中やホームに置き忘れても、10人に9人が取りに来ないということになる。財布やスマートフォンならば、忘れたことに気がついたら、すぐさま鉄道会社か警察に連絡するはずである。

 そもそも、なぜ傘をそんなにも頻繁に忘れてしまうのか。1つの理由として、日本では傘がどこでも安価に買えてしまう、ということがある。日本洋傘振興協議会によると、洋傘の国内年間消費量は、推計で約1億2000~3000万本。都市部では駅前にコンビニや100円均一ショップがあり、雨が降ったらすぐに手に入れることができる。特に、ビニール傘は安価かつ気軽で、生活に根付いたアイテムとなっている。

 この便利さが、我々の傘に対する執着を薄めてしまっているのではないか。傘を忘れないための1つの方法に、「折り畳み傘を買う」というものがあるが、すでに雨が降っているときならばいざ知らず、「天気予報で夜には雨が降りそう」くらいならば、カバンの中でかさばり、それなりの重さがある折り畳み傘を持っていくより、「天気予報が外れるかもしれないし、雨が降ったら買えばいいか」と思ってしまう。

 長傘なら、なおさら持ち歩くのが面倒くさい。また、長傘を横や水平に持つことで、後ろの人に当たってしまうことも問題視されている。特に小さい子どもの顔に当たってしまう可能性があり、その危険性が指摘されている。これは、最低限守らなければいけないマナーの問題でもあるが、そもそも長傘は、形状からして人の多い都市部では、持ち歩くのに適していないような気もしている。