「最初は『宇宙入門』のようなビギナー向けの本を読んで満足していたが、それでは飽き足らなくなった。例えば、ブラックホールについて通り一遍の説明を聞いてもわかったようなわからないような気になる。つまり、本当には理解できていないのが自覚できていたので、『ではそれをぜひ根本から理解しよう!』とファイトが湧いてきて、物理学を学ぼうと」

 文系だったAさんは中学の数学の参考書を買ってきて、基礎から学び始めた。当時は苦手で見たくもなかった数式の数々が、長く使われていなかった脳の一部分を刺激していくような感覚があり、それが快感であった。

「勉強は毎日1時間もやらない程度なのであまり進まないが、童話『ウサギとカメ』のカメじゃないけど、少しずつでも確実に進んでいる。

 元は『宇宙を知りたい』と思って始めたが、今は数学の勉強自体が楽しい。有益なパズルをやっているような感覚。昔の自分にこの気持ちが少しでも理解できていれば…」

 現在Aさんは微分・積分に取り組んでいるそうである。

 Bさん(38歳男性)も趣味が勉強となった人である。

「最近のクイズ番組で、漢字のパズルや読みが問題となっているのって割と多いじゃないですか。自分もあれを見ていたんですね」(Bさん)

 昔からそれなりの読書家であったためか国語は得意であり、漢字にもそれなりに強い自負があった。それで漢字関連の問題が出るたびに、聞かれてもいない正解を答えては妻に「すごい」と言わせていた。

「でもあの手の問題には、普段読書をしていてもなかなか見かけないような漢字が出題されるじゃないですか。『この漢字、どこかで見かけたことあるんだけどなんだっけな…』と。それが悔しくて漢検の勉強を始めたんです。

 机に向かうのは風呂に入ってから寝るまでの1、2時間でしょうか。漢検2級は苦戦の末取れたんですが、準1級からが唐突に難しくてものすごい壁を感じる……。その分やりがいもありますが」

 得意だと思っていた分野にさらなる奥深さがあることを知り、征服したく思ったBさんは、おそらく負けず嫌いな性格である。

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