スーファミミニ、ファミコンミニの核になっているAllwinner社のR16チップは、演算を担当するCPUとグラフィックを担当するGPU、そしてキャッシュメモリを一つのチップ内に統合している。有名な米クアルコム社のSnapdragonシリーズなどと同様のSoCだ。SoCとは「System on Chip」の略で、複数のチップによって成り立つシステム全体が一つのチップに載っていることからそう呼ばれる。
 
 こうした統合チップが生まれた背景には、コンピュータがますます高性能化、低価格化、小型化し、さまざまなものに部品として組み込まれていく背景がある。

コンピュータの歴史の2つの側面数億円したスーパーコンピュータの性能も、現在のオモチャに及ばない(出典:秋田純一・金沢大学教授)
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 金沢大学の秋田純一教授が作成した講義資料「産業としての半導体とムーアの法則」(全文ダウンロード)によると、かつて数億円するスーパーコンピュータの持っていた計算性能以上を、今では炊飯器の内部にあるマイコンチップが備えているという。

 半導体の集積度が上がることにより価格低下・性能向上をもたらす「ムーアの法則」は、このように産業の形を変える。最高性能の半導体の性能向上、同じ性能の半導体の低価格化はここ数年、集積度の向上速度が落ちつつある今も、避けられない要素だ。
 
 フィルムカメラがデジタルカメラに、カセットテープがシリコンオーディオやスマートフォンに置き換わったように、我々のまわりの電化製品は続々と「マイコンチップが中心のもの」に取って代わっている。そうした製品はムーアの法則の恩恵を受けるため、進化の速度が急激に上がり、結果として買い換えサイクルが早くなる。

コンピュータの使い方の変化ムーアの法則によってコンピュータは性能向上低価格化し、部品として他の部品を置き換えるようになっている(出典:秋田純一・金沢大学教授)
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製品寿命が短くなる時代の製品作り

 たとえばスマートフォンはどのような高級機種でも、せいぜい2~3年程度での買い換えを想定されている。最高級機種だから10年もつ、というのは難しい。
 
 プロカメラマンが使うカメラも半導体が中心のデジタルカメラになって以後、新機種と旧機種の性能差が開きすぎ、買い換えのサイクルは早まっている。ムーアの法則が市場全体に作用する以上、自社の製品の性能を向上させないと、「自社のハイエンドモデルが、1年後には他社の中級機に劣る」ことが起こる。
 
 同じくドローンも、高級機種は数十万円するが、むしろパワーユーザーほど性能が向上した新機種に頻繁に買い換える。