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特集デジタル時代のマーケティング戦略2011
国勢調査で発掘! 東京23区お役立ちデータ
【第6回】 2012年7月3日
著者・コラム紹介バックナンバー
池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長],小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員],一般社団法人東京23区研究所

江戸とサウジアラビアで男性比率が高い
共通の理由は何か。
人口性比で23区の男女比率の違いを検証する

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取り残される男たち

 社会的要因を除いたベーシックな性比の差は、神の摂理に委ねられている。男の子は女の子より5~6%多く産まれる。福岡伸一氏曰くの「できそこないの男たち」(同氏の著書のタイトル)は、女性より死亡率が高いからだ。大人になると男女の数がほぼ同じになるよう、神様は絶妙な設計図を描いている。そして高齢者になると、平均寿命が長い女性の数が多くなる。冒頭で先進国ほど女性が多いといったのは、医学が発達した先進国は平均寿命が長いからにほかならない。

 とすれば、65歳以上の高齢者の数を15歳未満の子どもの数で割った「少子高齢化度」を求めると、性比の差を説明する有力な指標が得られるはずだ。

 東京23区でこの「少子高齢化度」が一番低いのは江戸川区。だから、性比が2位と男が多い。江戸川区だけでなく、足立区や葛飾区といった東部の各区は概してこの値が低い。これも性比の結果と合っている。もっとも、「少子高齢化度」が一番高いのは台東区。理屈上は女性が最も多くなるはずで、「なぜ台東区?」の疑問は続く。

 一方、女性の多さは軒並み説明不能。「少子高齢化度」21位の港区や22位の中央区は、逆に男性の方が多くなければ理に合わない。

 性比が高い(=男性が多い)区を改めて眺め直すと、豊島区を除き町工場型の製造業が多い区が並んでいることに気づく。町工場といえば家業。これこそ、江戸以来続く東京の伝統的な仕事のあり方だ。製造業に携わる家族従業者(家業を手伝っている人)の割合は、1位こそ性比8位の墨田区ながら、ほぼ同率の2位に台東区が並ぶ。他にも、この指標の上位と性比の上位は重なり合う区が多い。

 製造業家族従業者が全就業者に占める割合は、1%にも満たない。だが、コツコツ働く頑固親父と、黙ってその背中を見つめる家族の姿は、街の風土の中に染み込んでいる。もちろん、そんな街で昔ながらの仕事と生活がしたいと男たちが集まってくるわけではない。なにしろ、製造業家族従業者が全就業者に占める割合は1%にも満たないのだから。

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池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長]

一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。

小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員]

一般社団法人東京23区研究所上席研究員。1978年より財団法人・東京都政調査会研究員、都市問題・自治体政策の研究に従事。87年より中央大学社会科学研究所・客員研究員、多摩地区の地域開発研究に従事。その後、フリーを経て現職。

一般社団法人東京23区研究所

東京23区をさまざまな角度から調査・分析している。マーケティングレポートなどを発行。HPはこちら


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