営業利益も上昇、現社長も継続。
「円満なM&A」が実現
必ず見つかると確信していたものの、見つかるまでは不安でした。そんなときに消費者向けのウェブサイトを運営している会社が興味を示してくれました。この会社の既存顧客と競合しないことが確認できたため、3000万円の第三者割当増資によって債務超過を解消し、必要な運転資金を会社に供給するM&Aが成立しました。
社長の報酬をすべて銀行返済に回していたことも、社長の誠実さとして高く評価されました。過半数を超える株主となった買い手企業からの発注もあり、営業利益は1000万円の水準にまで上昇、現社長も継続できる円満なM&Aが実現しました。
このケースのように、債務超過だからといって卑下する必要はありません。 目の前にある事業に社員がしっかり向かっていれば、必ず方策はあります。また、誠実に債務超過に向き合っている姿勢も重要です。
大切なのは、債務超過にとらわれずに自分の本業をもう一度見直すことです。
ポイントは、債務超過の理由が継続的な赤字によるものではなく、過去の負の遺産がそのまま残っているだけという点です。
債務超過がネックになり、会社としては高い評価が得られなくても、どこかの企業グループの機能子会社になり、一つの商圏で安定的な経営を続ける方策もあります。広く社会全般に供給できる優れた技術やサービスがなければ売れないわけではなく、ある特定の会社だけにピッタリとはまるような形で、会社が存続できるケースもあります。
同じ債務超過でも、その質を見極めることが重要なのです。
※次回は、赤字体質から脱却できないのに売れたケースをお伝えします(7月31日公開予定)。