存続している限り、
すべての会社には価値がある

 会社は、だれでも作ることができます。
 だれでも社長になることができます。

 しかし、続けることは至難の業。創業10年を超えてくると、倒産や休業とならずに、黒字でしっかりと事業継続している会社はむしろ少数といわれています。まずは、会社は続いていることだけでも素晴らしいことだと私は思います。

 会社は、幸運だけでは続きません。当たり前だと思ってやってきた何気ない日々の工夫や改善によって、会社は進化を続け、淘汰の波にのみ込まれずに生き続けてきたのです。

 それらの工夫や改善は、会社を存続させてきた「かけがえのない価値の源」であり、第三者から見れば「宝の山」かもしれません。

 後継者問題、資金繰りの問題、収益改善の難しさ、そして、従業員の生活の維持。経営者の皆さんは、さまざまな事情を抱えながら本記事を読んでいることと思います。

 会社が存続しているということは、それ自体に価値があります。ご自身が営む事業について、悲観的にならないでください。第三者にとっては、思わぬ魅力を持っているかもしれないと前向きになってください。
 そして、ご自身の視野の範囲に見える売却候補先にこだわることなく、これまでは気づかなかった自社の価値を改めて発掘し、持続的な成長に寄与してくれる最適な相手を、あらゆる角度から見つけ出すことを意識してください。売れるはずがないと思った会社が売れたり、予想よりはるかに高い価格で売れたりするのは、売却する企業側が自らの事業の強みをしっかりと理解し、その強みを伸ばせる買い手企業と出合ったときです。

 それを実現するために大きな役割を果たすのが、M&Aアドバイザーです。本連載や、『あなたの会社は高く売れます』などとともに、第三者の見解を参考にしてみてください。

※次回は、幸福なM&Aのために必要なプロセスについてお伝えします(8月2日公開予定)。