郵便だけでは立ち行かない日本郵便は、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の金融商品を扱って、手数料をもらうことでかろうじて黒字を維持している。

 2018年3月末、ゆうちょ銀行から5981億円、かんぽ生命から3722億円の業務受託手数料を受け取った。赤字の郵便を金融事業が支える、という構造だ。

 だが日本郵政にとって保険も投信も片手間でやるには重い仕事になってきた。

 特に投資信託は、利回りを上げるため外国株や外債が組み込まれ、先物・スワップなど仕組みは複雑化するばかり。商品を理解できないまま本部や地方拠点が割り振る営業目標をこなすのに四苦八苦というのが現状だ。

 1800兆円とされる個人金融資産の49.5%は65歳以上の高齢者が持っている(みずほ総研調べ)。オレオレ詐欺も悪質な訪問販売もここの層を狙っている。手っ取り早く成果を上げるため郵政グループも高齢者を狙ったのではないか。

 投資信託の営業には「適合性の原則」が法律で定められている。投資判断ができる顧客でないと売ってはいけない、という決まりだ。ルールは現場で有名無実になっていた。

 問題は、上司の立ち会いなしに売った、という営業形態にとどまらない。投資判断できない高齢者にどんな投信を売ったのか、そこがポイントだ。

 高齢者に勧めてはいけないような投機性の高い複雑な投信を売っていたのではないか。

 記者会見でこの点をただすと、横山邦男日本郵便社長は「お答えできない」と口をつぐんだ。

経営陣の関心は
高値での株式売り出し

 郵便局には顧客の個人情報がある。郵便貯金がいくらあるか、職員は知っている。

 貯金には金利は「ほぼゼロ」であることを残念に思う顧客に「利回りのいい投信におカネを移しませんか」と持ち掛ける。

 例えば、それで顧客が貯金口座から投信の口座に100万円を移したとすれば、3万円程度(商品によって異なる)の販売手数料がゆうちょ銀行に落ちる計算だ。お客は100万円払って97万円の投資信託を買うことになる。

 貯金から投信の「乗り換え」をさせるだけで3%の手数料。ゼロ金利のご時世でこんな商売はめったにない。顧客の口座を握っているからできる商売だ。