その際にやっていることは、資産性のある物件を買うための立地選定と物件指定だ。開示していない駅や物件の資産性情報を基に、話し合いをしながら決めていくことになる。理解力のある人は結論に至るまでの時間がかなり短い。そうなると、こぼれ話のようなものに花が咲く。30分でそこまでたどり着ければ、ゴールはかなり近づいている。

 机上の話だけでは、物件は買えない。買えるための準備が必要になる。そこで私が以前から使っているのは、タワマン節税のためのシステムだ。毎日、主要物件検索サイトに掲載される新着物件は約500件。これをシステムが取りにいき、自動査定して、その物件の資産価値の指標を付ける。

 毎日やっているので、今日の一番割安な物件、最もタワマン節税に適した物件、投資に適した物件などが特定できる。相続税対策の顧客の半数が地方在住のため、物件を見つけた翌日にスマホのテレビ会議機能を使った遠隔内覧を実施している。割安な物件は3日もすれば他の業者も気づく。だからこそ、誰よりも早く見に行き、先に買付(かいつけ)を入れた者に、一番手の交渉権が得られる。

 私はこのタワマン節税用のシステムを、自宅購入や投資したい面談者に渡している。毎日くる情報から内覧物件を決めるだけなので、使い勝手がよく、手間いらずだ。

「スマート仲介」は
これからどうなるか

 私は、顧客の自宅に対する考え方次第で、選ぶ仲介会社が決まる時代がきてもいいと思っている。戸建てやアパートを建てる際は、ハウスメーカーを選んでいる。自分は自宅で資産を築くことを目的にしているが、他にも色々な軸があっていい。

 たとえば、間取りの良し悪しをAIで点数化したり、スーパーやコンビニなどの生活利便性で物件を選んだりしてもいいと思う。不動産業者が玄人だというなら、それをわかりやすく表現できないと、常に一見さん相手の「素人騙し」のようなサービスになりがちだ。スマート仲介といっても、集客力と顧客満足度に帰着させないと、すべては「ITのオママゴト」になってしまう。スマート仲介が百花繚乱になったとき、業界の成熟を感じられることだろう。

(スタイルアクト株式会社 代表取締役 沖 有人)