――「本業」として考えるには、具体的にどういう点を改善すべきですか。

 例えば、ユーザー企業において、「IT部門で長年経験を積んだ人が出世しない」とか「ITの研修にお金がかけられない」というのはよくある話です。ITは動いて当たり前。動かないと非難されるけど、動いても褒められない。多くの企業で、システム部門の立場はそんなところでしょう。しかし、これではデジタル・トランスフォーメーションは成功しません。ITの成功を、本業と同様に評価する姿勢が必要です。

 今は、部門横断的なデジタル活用をめざして、システム部門以外もITプロジェクトに参加するケースがあります。例えば、営業担当がITプロジェクトに週2回携わるとなったときに、「自分の営業成績が下がって困る」状況ではだめ。ITプロジェクトで出した成果も、その活動の割合に応じて人事考課できちんと加味してあげるべきです。

 まずは、こうした人事の視点からITに関わることを評価する。これが関係者のやる気につながります。要件定義とか、セキュリティー対策とか、細かいことはプロジェクトメンバーのモチベーションあってのことです。