現在の4Gの場合、LTE(ロング・ターム・エボリューション)規格通信でもフルHD画像の送信には時間遅れや画像処理の乱れがつきまとう。ところが、5Gになると実用上問題のない通信速度とクオリティを持つことが確認されたという。5Gはどの帯域を使っても「同時に通信できる端末の台数が現在の100倍以上」といわれ、接続端末が増えても通信速度が落ちないという特徴がある。

 隊列走行トラックでの実験では、先頭車両から後続車両に加速度や操舵といった情報を送るテストも行われた。先頭車両が行った制御が後続車でも正しく作動するかどうか、双方向通信で確認するためだ。先頭車両の自動運転制御は、後続車両のカメラデータ(大容量データ)を活用する。

 現在のLTEの場合は40ミリ秒程度の遅れが発生する。5Gの大容量通信は、4K(走査線4000本)のテレビ画像でも車車間または路車間で時間差1ミリ秒(1000分の1秒、LTE比で40倍速い)以内に収められるという。100km/hで走行している場合でも、この程度ならデータ遅延の影響はないという。

トヨタとKDDIが走行中の車両の
車載カメラ画像を共有する実験

 欧州では、大手サプライヤー(部品供給メーカー)の独・コンチネンタルが路車間でのデータ通信実験を行った。アウトバーン上を130km/hで走行する車両に渋滞情報、天候情報、工事情報などを送る場合でも、5Gを使うと双方向通信が可能だという。また、車載カメラでとらえた事故映像を道路管制センターがリアルタイムで見ることもできるという。日本では、トヨタとKDDIが走行中の車両の車載カメラ画像を共有する実験を行っている。

 独・ボッシュは、車載レーダーやカメラを使った前方車両との車間距離自動維持装置であるアダプティブクルーズコントロールや、車両の車線逸脱を防ぐレーンキープアシストなどADAS(先進運転支援装置)の作動を、より正確かつ“乗り心地”に配慮したものにするため、5Gを利用する実験を行った。外部の道路データを受信できなくても、自車の周囲を走行する車両と高速データ通信を行い、前方300mまでの道路状況を加味したADAS制御が可能だという。

 将来的には自動運転のためにも5Gが活用される。進路上の道路状況や交差点カメラの情報などを取り込み、AI(人工知能)の状況判断に生かせる。同時に自動運転から手動運転へハンドオーバー(受け渡し)する判断にも、5Gのデータ量と送信スピードが役立つ。