このように、「販売台数が利益を作る」という考え方からの脱却を明確にし、3社連合の中で数を取りに行く役割を担うことを事実上拒否した西川日産。だが、世界販売550万台、売上高営業利益率3%という今期目標から3年でそれぞれ600万台、6%へと引き上げるためには、代わりの成長戦略がなければならない。

 西川社長がこだわりを見せたのは、日産にとって最大市場でありながら営業利益率が2.5%に低落している北米だった。これまで販売台数を稼ぐため、フリート販売(法人向けの卸売り)の比率が高くなっていたのを是正し、リテール販売(個人向けの小売り)を増やすのだという。

 西川社長はこのチェンジを「B2BからB2Cへ」という、今の自動車業界のトレンドとは逆の言葉で表現した。このことによって値引きが抑えられ、利幅が拡大するという算段だ。

 もちろん、いくらリテールを伸ばしたいと日産が言っても、ユーザーが「はいそうですか」とそれに応えて日産車を買ってくれるわけではない。

世界戦略はルノーに左右されず
自分で決めるという意思表示

 日産がこの点についてある程度の自信を抱いている背景にあるのは、今後の新商品ラッシュだ。日産は長いこと、世界市場で新商品不足に陥っていたが、今後しばらくは溜まっていた分のフルモデルチェンジや新型車が固まって出てくる。2022年までに20モデルを投入するという。

 すでに日産は台数維持のためのフリート販売への過剰依存をやめる取り組みを始めており、それが販売減、ひいては大減益の原因にもなっていた。世界戦略はルノーに左右されず自分で決めるという意思表示という側面もあるが、その分は「すぐ取り戻せる」と思っているからこそ取れた作戦であろう。

 だが、これで西川日産の未来が明るいものになったとはとてもいえない。先に述べたように小型車をやめて中大型車主体のビジネスをするということは、新興国を切って先進国主体のビジネスに転換することと同義だが、日産のようなノンプレミアムメーカーにとって、それは結構険しい道だからだ。

 西川社長は1台あたりの販売価格や利益幅を重視していくと語っていたが、新興国市場は安いクルマが主体だから、そもそももうからないものというわけではない。単価は安くともコストの安い現地工場で作り、現地で消費するという地産地消がうまく回れば、大きな利益を出せるのだ。