生活困窮世帯全員ではなく
「しんどい」子どもたちが対象

 大阪市の塾代助成に加えて、東淀川区には、生活困窮世帯の中学生の子どもたちを対象とした無料の勉強会が存在する。これらの制度や金額を眺めると、むしろ「大阪市は低所得層の子育てに優しい」という印象が感じられるかもしれない。

 東淀川区中学生勉強会が対象としているのは、生活困窮世帯の中学生全員ではなく、「しんどい」状況にある子どもたちだ。具体的には、不登校の傾向があったり、学校の勉強に全くついていけない状態になっていたり、保護者の疾患などによって家庭で充分なサポートを受けられなかったり、世帯ごと社会的に孤立していたりする子どもたちだ。

 特に、シングルマザー世帯で母親が就労していない場合、就労を通じた社会とのつながりが薄く、世帯ごと孤立しやすい。世の中の関心は、「母親が働けるのに働いていないのではないか」という点に集中しがちだが、孤立した母親と子どもが強く支え合っている場合もある。

 また、子どもが母親や弟妹のケアを担う場合もある。その子どもたちが必要としているのは、まず、子ども時代を子どもらしく送ることだ。特に問題なく学校生活を送ることができ、大阪市の塾代助成で次のステップに進めそうな子どもたちとは、異なるアプローチが必要だ。

 対象となる子どもたちは、生活保護や子ども支援に関わる職員たちがリストアップし、個別に働きかける。チラシや区報のような「みんな」に届く情報は、「しんどい」子どもたちには届きにくい。制度を用意して予算を確保し情報を提示するだけでは、本当に必要としている子どもたちには役立たない。

 東淀川区中学生勉強会では、もちろん学習指導も行うが、基本的に重視されるのは「居場所」機能だ。子どもたちは「自分のありのままが受け入れられる」という実感のもと、安心感を抱き、自分を肯定し、「取り組んでみたら、できるようになった」という経験を積み重ねる。