中学受験は小学校の「学区選び」から始まる!【城南の両雄「目黒区と世田谷区」】用賀の閑静な住宅街にある「桜町小」。近くには長谷川町子美術館も

「社宅の街」世田谷の明と暗

 東京23区の中で世田谷区は周辺区として準郊外的な位置付けになる。区内は総合支所が置かれている5つの地域に大きく分かれる。区役所がある世田谷、京王線の駅が多く含まれる北沢と烏山(からすやま)、小田急小田原線と東急田園都市線に挟まれた砧(きぬた)、そして東急大井町線が縦に走る玉川である。

 地域によって小学校の性格にも違いがみられる。環状7号線の周辺には学年1~2クラスの小規模校が残り、徐々に統廃合が進んでいる。

 東急田園都市線「三軒茶屋」駅に近いある学区では、地元の保護者によれば、「企業の社宅が多く、小学校から私立・国立に通学させている世帯も比較的多い。中学受験を経験する割合は男女合わせて全体の約半数」という。

 そして、「受験をしない生徒は高校受験に力を入れている地元の公立中学校(富士中)に進学し、学年によってバラつきはあるものの、高校から大学付属高へ行く生徒数も増えてきている」(同)のだという。

 世田谷区は学区制である。他の学区からの越境通学は、人気校や施設に余裕のない場合は拒まれる。逆に、人気学区から隣の学区に進みたいという希望はかなえられる傾向にあるようだ。

 「公立小では、中学受験することを快く思わない先生が結構いて、『何で受験するの?』みたいなことを言われて、面談で嫌な思いをしたママもいました」(区内在住の受験生の母親)。受験先に提出する調査書(もしくは報告書)を冬休み前に担任の先生(と校長)に受験する学校の数だけ作成してもらうのだが、中学受験生の少ない小学校では、難色を示されることもままある。学校側もそのあたりには気を配っているようで、受験しそうな子を集めたクラスをつくり、そこに受験に理解のある教員を配置する例もあるという。