京都を上回るレベルの
観光公害が発生するのは確実

 22日の市記者発表資料の「IRの効果」というページには、横浜市のシルエットに「我が国を代表するスケールとクオリティ」という文字とともに、「2000万~4000万人/年」という、ザックリとした集客見込みが記されている。

「平成30年度横浜市観光動態消費動向調査」を基に推計された、現在の横浜市の観光集客実人員は3420万人。ということは、少なく見積もっても、IRができれば5420万~7420万人もの観光客が押し寄せるとしておこう。

「ふーん、賑やかになっていいじゃん」と思う人もいるかもしれないが、毎日のように観光客トラブルが発生して、住民がストレスフルな毎日を送っている京都の観光客数でも5275万人なのだ。

 それを軽く上回る凄まじい数の観光客が、京都よりも遥かに狭く、遥かに観光スポットの少ない横浜へ押し寄せれば――。京都で起きている観光公害が可愛く見えるほど、阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられるというのは容易に想像できよう。

 例えるのなら、大型バスでぎゅうぎゅうづめになって圧死寸前の人々を、今度は軽自動車へと無理に押し込もうというくらいにムチャクチャな話なのだ。

 もちろん、朝から晩までIRの中でしか過ごさないという観光客もいるだろうが、大多数の観光客はIRを拠点として周辺の「横浜観光」に興じるのは間違いない。また、最近のIRはマリナーベイサンズの光と噴水のショーのように「遠くから見ても楽しめる」ことがウリなので、東京に宿泊している観光客が見物に訪れることも予想される。

 先ほどのUNWTOのレポートにも、「観光による混雑は訪問客の数だけでなく、それに対応できるキャパシティが関係する」と指摘されているが、IRの集客力の強さが、横浜という都市の観光キャパシティを超えた「観光過剰」を引き起こす恐れがあるのだ。

 IRの法案を通そうと躍起になっていた時の観光庁の資料には、「インバウンドは東京、大阪をはじめとしたゴールデンルートに集中している(外国人延べ宿泊者数の約6割は3大都市圏に集中)」とあり、「全国津々浦々へもその消費効果を波及させるエンジンとして、我が国のさまざまな地域の魅力をアピールし、各地への訪問につなげるゲートウェイ機能を持ったIRに」なんて「理想」が掲げられている。