なぜ『チームの生産性をあげる。』が選ばれた?

――「瞬間ゼミ」の第1弾として選ばれたのがダイヤモンド社の書籍2冊。そのうちの1冊が『チームの生産性をあげる。』でした。編集ご担当の市川さん、『チームの生産性をあげる。』はどのような書籍なんですか?

人気ビジネス書の「映像化」が実現した背景市川有人(ダイヤモンド社 書籍編集局第一編集部 編集長) 大学卒業後、文学・人文系出版社、ビジネス系出版社を経て現職。ビジネススキルからマネジメント、組織論、経営戦略、経済学、宇宙開発、人工知能、食事術、子育て、結婚論、田舎暮らしまで幅広いジャンルを担当。最新の担当書に『ニュータイプの時代』(山口周・著)など。

市川有人(以下、市川) 著者は沢渡あまねさん。「業務改善士」として活躍している方です。面白い肩書きですよね?(笑)
本のポイントは3つあります。

1つ目は、「瞬間ゼミ」でも取り上げられている「プロセス改善」。ふつう「業務改善」といえば、いかに仕事を効率化・高速化するかというテクニックに重きを置きがちなんですけど、この本では、業務改善の本質的な部分は「プロセス」にあり、それをどう変えていけばいいかを考えています。

2つ目は、本のタイトルにもある「チームの生産性」。この本は新人プレイングマネジャーが想定読者です。自分の仕事だけでも手一杯な中で、チームの業績をどうあげていけばいいのか。「チームの仕事」を「自分の仕事」の延長線上でとらえるがためにうまくいかないプレイングマネジャーが多いので、この本では「ちょっと違う視点」をご紹介し、チームの業績をあげるためにはどうすればいいかを解説しています。

3つ目は、生産性をあげるための改善策を「8つのステップ」に分解したこと。くどくどと解説するのではなく「8つのステップ、68個の具体策」にすべて分解して、読者が再現しやすいようにまとめました。

……ただ、この本が刊行されたのは2017年7月。2年前の本なんですよね。なぜ新刊ではなく、『チームの生産性をあげる。』を取り上げていただけたのでしょう?

人気ビジネス書の「映像化」が実現した背景大澤創太(チョコレイト プランナー) 1996年生まれ。慶應義塾大学卒。サイバーエージェントのSNSアプリ「755」のリニューアルや、メイク動画アプリを開発するFirstMake Inc.の立ち上げを経て、2018年よりフリーで音楽のプロモーション・オリジナルコンテンツ制作を開始。「喫煙女子」「ブラライナー」「ズレて、重なる物語。」など、手がけた企画はどれもSNSで大きな話題を呼ぶ。Yahoo! JAPAN Hack U 2016 優秀賞。社会的文脈の強いテーマや現代的な哲学・思考を、時代に即したコンセプトに落とし込んでいくプランニングを得意とする。「瞬間ゼミ」では『チームの生産性をあげる。』の動画企画・ディレクションを担当。

大澤創太(以下、大澤) 今のビジネス環境を大きく変えようとしている「働き方改革」というテーマの中で、ビジネスパーソンの問題意識に刺さり、かつ動画に落とし込みやすい本はないかと探しました。そして見つけたのが『チームの生産性をあげる。』です。「『時短』じゃなくて『プロセス改善』だ」というメッセージも強く、動画映えすると感じました。

冨永 初めに「ビジネスパーソンが興味を持っているテーマ」を洗い出して、その中から「動画としてシャープに届きそうな本は何か」という視点で探したんです。新刊にこだわらず、書店の棚からありとあらゆる本を探して、今回のラインナップをつくりました。

松井 「瞬間ゼミ」の題材にする本の選び方は、私も勉強になりました。実は今回、弊社からも「この本を題材にしてはどうですか?」といくつかの本を提案したんですよね。それがことごとくボツで(笑)。「動画に落とし込みやすい素材」っていう視点は、わたしたちの視点とはまったくの別物なんだな、とつくづく思いました。

動画はテキスト以上に「見る人の感情に訴えかける」ことが得意なメディアです。視点が異なるからこそ、見る人の感情を盛り上げて書籍のエッセンスを伝えることができ、新しい読者に出会えるきっかけになりえる。そしてその動画で完結する人もいれば、より詳しく内容を知りたいと思った人が本を手に取ってくれるかもしれない。「新しい読者との出会い」というのは、どの出版社にとっても関心のあるテーマだと思います。

【速動画】「なぜチームの生産性はあがらないのか」

(記事の後編は8月30日公開予定)