アスクルとヤフーによる提携から
現在に至るまでの事実関係

 まず、アスクルとヤフーとの資本業務提携の経緯を確認しておこう。

 両社が提携を発表したのは、2012年4月27日である。ヤフーは第三者割当増資によって、1株1433円で、2302万8600株のアスクル株を取得した。その投資金額は330億円、議決権比率で42.6%を握る大株主となった。アスクルの親会社であったプラスも株主として留まったことから、2社合算での持株比率は過半数を超えることとなり、その状況は現在も続いている。

 当時の新聞記事[注1]によると、アスクルは、2009年に自社で始めた個人向けの通販サイトが営業赤字になり、また全社でも最終赤字となったので、ヤフーのポータルから顧客を自社サイトに誘導することで、個人向け通販を立て直そうという意図があった。他方ヤフーも、自社の個人向けショッピングサイトが楽天やアマゾンに取扱高で水をあけられていて、アスクルの持つ配送網を活用して利便性を高める必要があった。

 そして資本業務提携により、アスクルは、ロハコ(Lohaco)という個人向けショッピングサイトを立ち上げ、ヤフーのトップページからリンクされるようになった。

 資本業務提携後のアスクルの業績は、図表1のように推移した。なお、2018年5月期、2019年5月期のロハコ部門の数字には、2017年7月に買収したペット用品通販のチャーム社のデータを含む(図表中∗を参照)。

資本業務提携後アスクル業績の推移

出典:アスクル決算説明会資料より筆者作成 拡大画像表示

 提携から7年間で、ロハコ部門の年間売上は21億円から652億円(チャーム社分を除けば513億円)と大きく増えているものの、他の大手ネット通販が1兆円規模の売上であることと比べれば、到底及ばない。また、2019年5月期においても、アスクルのロハコ部門は営業赤字であり、2020年5月期予想でも営業赤字が続く予想(赤字幅は縮小)である。

 株価については、どうだろうか。図表2は、両社が提携を発表した直後の2012年5月における株価を100として、アスクル、ヤフー、楽天の株価の推移を示したものである。

アスクル、ヤフー、楽天の株価の推移
出典:筆者作成 拡大画像表示

 株価については、2019年6月末時点で、アスクルの株価は業務資本提携発表直後の約1.9倍となっており、同期間にヤフーや楽天の株価が1.3~1.4倍程度にしかなっていないことに比べれば、パフォーマンスがよい。ただし、同期間に東証株価指数(TOPIX)も約1.9倍になっているので、アスクルの株価のパフォーマンスが格段によかったとはいえない。なお、2019年6月末時点で、ヤフーが保有するアスクル株は約200億円の含み益を抱えていた計算になる。

[注1]2012年4月28日付、日本経済新聞朝刊、および、2012年5月1日付、日経産業新聞