大きな数をシンプルに扱う
指数と対数。この言葉を聞くだけで「難しいことが始まった」と嫌になってしまう人も多いだろう。だが実際には、大きな数や小さな数を簡単に扱うためのテクニックだ。まず指数から復習しよう。
指数は、ある数や文字の右上に小文字で書いた数のこと。そして、この小文字は、繰り返し掛ける回数を表している。
例えば、25は2を5回掛けるという意味で、32を表している。
これのどこが便利なのかと感じるかもしれないが、世界には0をたくさん使わないと表現できないものが頻繁に登場する。
分子の数を計算するときに使うアボガドロ数は、6の後に0が23個も並ぶ巨大な数だ。一方、電子の重さは小数点の後に0が30個並ぶとても小さな数になる。
指数を使えば、これらをシンプルに表すことができる。もしも指数がなければ、化学や電子工学は0の数をいかに間違えずに書くかという、とんでもなく面倒な状態に陥っていたことだろう。
指数の本領は、掛け算や割り算をするときに発揮される。
23と22を掛けると、指数を足した25になる。同様に25を22で割ると、指数を引いた23が答えになる。つまり指数は、「掛け算を足し算」に、「割り算を引き算」にするという、計算をラクにする性質を持っているのだ。
実際に計算で使ってみよう。2010年に小惑星「イトカワ」からサンプルを持ち帰った探査機「はやぶさ」は、約60億キロメートルの距離を、約7年間かけて旅した。平均速度は秒速何キロメートルだろうか。