首都圏公立校の現状を見ると

 これまで見てきたように、国公立志向の強い西日本の公立校がランキング上位を占める傾向にある。公立トップ校は地元にある旧帝国大学をはじめとする国立大に卒業生を送り込むことが最大のミッションというところがいまでも多いようだ。

 エリアごとに見ていこう。

 九州地方では10位熊本がランキング上位校として定着している。九州大の合格者も多いが、東京で行われるOB会に1000人以上も集まるといわれるように、首都圏にも強力なネットワークを築いている。12位長崎西、14位鶴丸にもそうした傾向が強いだろう。

 九州大の地元である福岡県では、37位福岡、同じ68位の修猷館と筑紫丘という各学区のトップ校から九州大に3ケタの合格者を出している。

 北陸地方では、16位藤島(福井)、18位富山中部、19位金沢泉丘(石川)の各県トップ3校が上位に並んでいる。地元の金沢大など国立大にも多くの合格者を出しているが、藤島が京都大、富山中部が東京大、金沢泉丘が両大学にほぼ同数の合格者を出しているように、県によって向いている方向に違いがあるのが北陸の特徴だろう。

 東北地方は14位仙台第二、20位山形東、23位秋田が上位にある。エリア的には東北大を目指す生徒が多いが、仙台第二が98人、57位仙台第一が81人と、地元宮城勢が多くの合格者を出している。

 最後に首都圏について見ておこう。東京都の進学指導重点校はランキング内の41位国立、63位戸山、71位日比谷、96位西の他にも3校(八王子東、青山、立川)ある。東京大合格者数では日比谷がダントツだ。東京の旧制府立二中だった立川は、府立一中だった日比谷に大きく差をつけられている。

 特筆すべきは、都立の中等教育学校となった84位小石川が、これら重点校と肩を並べている点だろうか。MARCH合格者が目立つ他の都立中高一貫校とは一線を画している。

 神奈川県では96位に横浜翠嵐がなんとかランクインした。同じく学力向上進学重点校のアドバンス校に指定されている旧制六中の湘南とは、だいぶ差がついている。

 この湘南と「浦高戦」を定期的に開催していた埼玉県立浦和は38位。「百年対決」といわれたライバルの熊谷は普通の進学校になってしまった。浦和は公立全盛期の威光をいまも引き継ぐ数少ない県立高の1つといえる。

 千葉県では92位に船橋が入った。県立トップだった千葉は、東葛飾とともに中高一貫化したものの、私立共学中高一貫校で、ダントツのトップ校となった渋谷教育学園幕張とのギャップはもはや埋まりそうにない。