例えばパリは、景観を守るための法律があり、簡単には古い建物を取り壊すことができない。他のヨーロッパの国でも、そのように建築物に対する厳しい制限を設けているところは少なくない。そのおかげで、特に旧市街などでは景観と街並みが守られているのだ。

 ヨーロッパに比べれば、日本は自由に土地を分割し、住宅を作ることができる国だ。その結果として、無秩序で無計画な街並みができあがり、住宅数が需要を上回る過剰供給状態になってしまったといえる。

 これは、「売るために新しい住宅をつくり続ける」という、住宅を供給するデベロッパー側の問題に加えて、住宅を買う消費者側の「新築住宅信仰」にも問題があり、双方がそのビジネスモデルと意識を改めなければ、空き家問題を根本から解決することはできないだろう。

 空き家を減らすためには、まずは空き家になる要素をなくすことが大切だ。例えば、新しい住宅を作る際には必ず既存の住宅を解体し、住宅総数を増やさないようにするなどの大改革が不可欠なのだ。

空き家の増加は管理組合にも
大きな問題をもたらす

 このように、空き家問題は社会構造や法律を変えるところまで、それこそ国を挙げて取り組まなければならない大きな課題であり、そうそう簡単には解決できないだろう。そうはいっても、年々空き家は増え続けており、空き家の所有者にとってはすぐにでも解決したい切実な問題だ。そして、マンション管理組合にとっても、空き家の増加は大きな問題となる。

 例えば、管理費・修繕積立金の滞納問題がある。マンションの居室に人が住んでいなくても、当然どこかに区分所有者はいるのだが、銀行口座から管理費・修繕積立金が引き落とせなくなった場合はやっかいだ。居室に住んでいれば督促も行いやすいが、区分所有者が遠方にいる場合などには、電話や郵送物での督促では、無視を決め込まれれば連絡を取ることさえ難しくなる。

 また、理事のなり手不足も大きな問題となる。マンションの空き家率が1~2割程度であれば、問題が表面化することは少ないかもしれないが、これが3割を超えてくると目に見えて問題が出てくる。たいていの管理組合では、理事は輪番制で回ってくるが、空き家の区分所有者は当然理事会の活動に参加することはないため、限られたメンバーで理事を担当するしかない。その状況が何年も続けば、不公平感も出てくるだろうし、理事が固定化することで別の問題が発生する可能性もある。