「検査結果は100%ではありません。極端な話、検体を間違えればとんでもない結果になる可能性もあるし。CTやMRIなどの画像検査を見る場合にも結構主観が入りますからね。データは客観でも、解釈には主観が入る。何を重視して治療をするのかは、医者次第で、全部違ってくるわけです。

 だから、平面で見るのではなく、その患者さんの病気について立体像をつくり上げる、自分の頭の中で構築するということをしなくてはなりません」

 その際、役立つのが、先生独自の工夫を凝らした「カルテ」の存在だ。

「僕のカルテの書き方は非常にユニークです。まず、すべての考えられる病名を全部箇条書きで書き添えます。皮膚の病気、目の病気、腰が痛いとか、どこかにほかの病気があるかとか。重要なものから軽いものまで全部必ず挙げて、その根拠をさらに下に書いておく。

 あとは問題点とか、その人特有のことも書きます。患者さんには必ず問題点があります。なぜなら問題があるから受診しているからです。今のままでいいわけがないので、一生懸命考えます。問題点には生活習慣もありますし、病気そのものである場合もあります。説明しがたいデータが1つあるという場合もある。それらをどれくらい引き出せるかが、医者の技量でしょうね。

 患者さんを診る際には、再診の患者さんであっても、初めて診るときと同じ新鮮な目と注意深さを忘れない、かつこの患者さんを最後に診るのも自分なんだという気持ちで接しています。患者さんから何かを学びたいという気持ちもあります。欲でしょうかね。高齢者の話は非常に興味深く、勉強になります」

なかなかよくならない
重症患者さんの役に立ちたい

 最先端の治療をしているわけではないし、特別な薬を用いるわけでもない。しかし、木田先生のもとには、はるばる海外からも患者がやってくる。遠いところから、医療費よりもはるかに高額な旅費をかけてまで患者が訪れるのはなぜだろう。

「薬は最小限にして、それ以外の運動や栄養面での指導に力を入れているのがうちの目玉でしょうね。診察の後、看護師さんに指示して、毎回30分ぐらいかけて、生活パターンに合わせた指導をしてもらっています。検査と薬だけでは終わらせない。これは患者さんの生活を十分に知っていなければできない、僕の理想の診療スタイルです」