あまりに突然の人事改革に、副作用も表れている。マニッシュ・シャルマ・パナソニック インド社長は執行役員として残留したのに対し、インド社長よりも格上ポストの伊東大三・インド・南アジア・中東阿総代表は事業執行層へと降格するのだ。この背景には、シャルマ氏の雇用契約上の問題で役位変更ができなかったという事情がある。

 執行役員の削減規模こそ大きいものの、執行役員から事業執行層に呼称が変わっただけで実情は変わらないとし、今回の人事改変の効果に疑問符を付ける向きは多い。

 だが、あるパナソニック社員によれば、これは嵐の前の静けさなのだという。来る大改革の準備段階にすぎないというのだ。

若手抜てきとロートル退出を狙う人事刷新策

 というのも、19年3月期に四つのセグメント全てで大幅減益に陥ったパナソニックは今、「緊急事態」(パナソニック社員)にある。稼ぐ力を取り戻し、業績をてこ入れするための組織の引き締めは、もはや避けて通れない。

 社内で確実視されているのが、「若手抜てき」と「ロートル退出」を一気に行う大胆な人事刷新策の遂行である。思い切った人材の新陳代謝なくして、組織の活性化は望めないからだ。

 まず、一つ目の狙いである若手抜てきだ。パナソニックで事業の本部長以上になるには、執行役員に就くことが不文律。だが、執行役員の任期は1年なので、結果が伴わなければ1年でお払い箱になってしまう。

 かといって、「選別されたエリート層」と優越感に浸るには執行役員の数が多過ぎる。一世一代の勝負をする気にはとてもなれない、というのが現実だったはずだ。

 その点、新たに設けた事業執行層は役員格から社員格へ戻るので、安定した身分が保証される。その上、裁量は大きくリスクを恐れず挑戦できるため、若手の登竜門ポストとしては、もってこいだ。

 ただ、津賀社長にとっては、二つ目の「ロートル退出」こそ、差し迫った狙いだろう。