ギャンブルを悪とするより
自分の心の問題と向きあうべき

 ギャンブル等依存症は『射幸(偶然に得られる成功や利益を当てにすること)心をあおるギャンブルそのものが悪』あるいは、『本人が金にだらしないせいだ』といった文脈で語られることが多い。だが、このように見えるところだけを切り取った物言いに対し、三宅さんは疑問を唱える。

「ただ単にギャンブルが魅力的だからハマったということではなくて、その人が抱える問題や悩みを忘れるための手段として、たまたま触れる機会があったのがギャンブルだったのです。酒・薬物・ゲームなども、足りないものを埋めるための手段という点では共通しています。借金を重ね、生活が壊れてもなお目を背けたかった『生きづらさ』にこそ、根幹の原因があると考えます」

 依存症者支援の世界では、「完治はないが回復はある」という言葉があるという。「回復」とは「ギャンブルをしない選択を続けて生活していくこと」を指すそうだ。一般的に回復は1人では困難といわれており、回復を続けていくためには、医療機関や民間施設、自助グループのプログラムなど、第三者のサポートが不可欠だという。

 ワンネスグループでは、1年半の入所プログラムで回復支援を行う。回復のステップとしてはまず、生活習慣や金銭管理の立て直しと並行して、当事者とスタッフが入った話し合いのなかで過去の問題を語り、回復を続けていく動機を得ていく。物理的に依存対象から距離を取り、別の行動に置き換えることで手を出さないようにするそうだ。

 しかし、もともと依存傾向のある人の場合は、対処方法を実践しても、次から次へと依存対象への欲求が湧いてくる。入所支援のねらいは、依存問題の手前の『生きづらさ』をあぶり出すことにあるという。

「ギャンブル依存症の人は上っ面は良くて取り繕うのがうまいけれど、他人に腹の底を見せることに抵抗を示す人が多い。でも、共同生活を送る中で人間関係は嫌でも避けられません。その中で感じたこと・思ったことを正直に話すことで自分の思考のクセを知ったり、人に相談しても良いんだということを理解してもらいます。コミュニケーションが苦手であるとわかれば、それを改善し、より生きやすくなるようなサポートをしていきます」