まずは、自分や家族の高額療養費の所得区分を確認し、万一、入院したらどのくらいお金がかかるのかを確認してみよう。

 例えば、所得区分が「現役並みI」の人は、医療費が100万円かかったら1ヵ月の自己負担額は8万7430円。がんなどで療養が長引いて、医療費が高額になる月が過去12ヵ月に3回以上になると、4回目からは多数回該当が適用されて限度額は4万4400円に引き下げられる。

 手持ちの預貯金で、これらの負担が賄えそうなら慌てることはない。だが、収入があっても、住宅ローンが残っていたりして支出が多く、貯蓄が乏しい家庭は、なんらかの手立てをとっておきたい。

 医療費の備えというと、すぐに思い浮かぶのは民間の医療保険だが、高齢になってから新たに加入しようとすると保険料は割高になる。民間の医療保険は、加入者のリスクに応じて保険料を決めているので、病気やケガをする確率の高い高齢者の保険料は高く見積もられる傾向にあるからだ。

 それよりもお勧めしたいのが、養老保険などの満期金の有効活用だ。過去に養老保険など貯蓄性のある保険に加入していて、そろそろ満期を迎えるというものがあるという人もいるだろう。

 満期金が100万円など、ある程度まとまった金額になっていれば、医療保険に加入しなくても医療費の備えになるので、新たな保険に加入する必要はない。医療費専用の預貯金口座をひとつ作って、満期金をそのままスライドさせておくのだ。

 民間の医療保険は、保険会社が決めた支払い要件を満たさないと、給付金を支払ってもらうことはできないが、預貯金なら使い道は自由だ。医療費が必要になったら、通院や入院に関係なく、自由に引き出して使うことができる。医療費として使わなくても、もっと年を重ねて介護が必要になったときは、介護費用に回すことも可能だ。

 日本は、2007年に高齢化率(人口に占める65歳以上の人の割合)が21%を超え、すでに超高齢社会になってから10年以上経過している。少子化に歯止めがかかる気配はなく、高齢化率は2025年には30%、2060年には40%に達する見込みだ。

 そうした社会のなかでは、高齢者も重要な社会の支え手とならざるをえず、相応の負担を求められる傾向は強まるはずだ。社会の変化を敏感に捉えて、老後の医療費についても早めに対策を考えておきたい。

(フリーライター 早川幸子)