ともあれ、内閣府の運用指針を見ると、対象となる災害は、地震・水害・風害の3種類だ。台風は、とりあえず「風害」なので、対象となる。想定されている住家被害は「風圧力が作用することによる住家の損傷」「暴風に伴う飛来物の衝突による住家の損傷」「損傷した箇所から雨が降り込むこと等による住家の機能損失等の損傷」の3種類となっている。文言を見る限り、台風による被害の多くはカバーされそうだ。しかし、現実は甘くない。

台風には厳しい
住宅被害の支援基準

 台風によって、「家が完全に倒れた」「1階は残っているけれども、継ぎ柱で建てた2階は倒れた」といった、誰が見ても「もう住めない」という状態になっている場合には、「全壊」と判定され、最大で300万円の支援金が給付される。また、「家は建っているけれども傾いた」というケースでは、「木造家屋で傾斜が20分の1以上ならば全壊」といった基準がある。

 20分の1に達しない傾斜の場合は、他の被害と総合して「全壊」と判定される可能性がある。しかし、建築基準法に合致している家屋の場合、台風だけでは、そこまで「わかりやすい」被害にはならないことが多いはずだ。

 今回の台風15号だけによる家屋被害だけでも、被害のあり方は多様だ。冷暖房効率に配慮した気密性の高い住宅の場合、屋根や壁の亀裂に停電が重なると、カビが発生しやすい。修理されない雨漏りの長期化は、家屋にも家財にもジワジワとダメージをもたらす。現在の基準による「全壊」と「大規模半壊」だけの救済では、被害が発生しているのに救済されない人々が数多く残りそうだ。

 さらに、自治体による温度差もある。千葉県は、被災者生活再建支援法の適用対象にならない自治体を“見殺し“にしない「千葉県被災者生活再建支援事業」という制度を設けている。茨城県と埼玉県にも、同様の制度がある。しかし対象は「全壊」「大規模半壊」に限られており、「半壊」「一部損壊」は対象にならない。そして、このような独自制度が存在しない自治体も、まだまだ数多いのだ。財政を含めて、どうしても国レベルの支援が必要な場面は残る。