リクナビ内定辞退率問題で厚労省激怒、「データ購入企業」にも鉄拳厚労省は、「リクナビ」を運営するリクルートキャリアのみならず(写真左は小林大三・リクルートキャリア社長)、データ購入企業の責任も重く見ている Photo:JIJI

労働者保護を原則とする厚生労働省が、怒り狂っている。就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが就活学生の内定辞退率予測データを大企業に販売していた問題についてだ。厚労省の怒りの矛先は、個人情報のデータを販売したリクルートキャリアのみならず、購入したビッグカンパニーへも向いている。(ダイヤモンド編集部 浅島亮子)

 戦後最大の疑獄事件「リクルート事件」が発覚したのは、1988年のこと。リクルートから賄賂として未公開株を譲渡された収賄側には、時の労働省(現・厚生労働省)事務次官の名もあった。

 リクルートホールディングス(HD)が31年前の亡霊に取り付かれている。

 就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(リクルートHD傘下)が就活学生の内定辞退率を算出、その予測データを企業に販売するサービス「リクナビDMPフォロー」が廃止に追い込まれたのだ。データを購入した企業はトヨタ自動車やホンダ、NTTグループなどビッグネームばかり34社に上る。

 実は、この問題の根っこはリクルート事件にある。

 ある厚労省OBは、「当時、求職者と企業をマッチングする職業紹介事業と同じように、求人情報サービスを行う『募集情報等提供事業』に対しても、規制をかけるべきという議論が省内であったが、ノールールという結論が導き出された」と打ち明ける。

 後に、その判断を下したのが収賄罪に問われた労働次官であり、リクルートによる根回しが取り沙汰された。それでも、「募集情報等提供事業=無法地帯」という結論が覆ることはなく、うやむやにされた。求人情報サービスに野放図が許された元凶はここにある。