「おしっこのしすぎで絶滅」
「背中が無防備で絶滅」
「方向性を見失って絶滅」……

思わず気になる「絶滅理由」を紹介する『わけあって絶滅しました』シリーズが巷で話題となっている。第1弾が発売されるやいなやテレビ・ラジオで話題となり、第2弾の『続 わけあって絶滅しました。世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』と合わせて68万部のベストセラーとなった。

児童書として発売された本書だが、意外なことに「生存競争の過酷さ、生き残りのコツがビジネスの参考になる」とビジネスマンからの共感も集めている。生き物達の驚くべき進化、そして襲いかかる理不尽な環境の変化が、現代社会とどう重なるのか。今回特別に『続 わけあって絶滅しました。世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』の内容を一部抜粋・編集してお届けする。

巨大な頭はなんのため? ディプロカウルスが絶滅した理由

古生代最後のペルム紀後期に絶滅したディプロカウルスは、全長1メートルほどの両生類。北アメリカやアフリカに生息して、甲殻類や昆虫を食べていました。

かれらの特徴は、なんといっても巨大な頭です。矢印のように横に張り出した、変わった形をしていました。

さて、そんなかれらがなぜ絶滅したのか。『続 わけあって絶滅しました。世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』では、絶滅理由を一風変わった小説調で語っています。

不条理すぎる進化! 「頭が引っかかって絶滅」したディプロカウルスの悲しみとは?
 ディプロカウルスは悲しんだ。

 彼は、川底を歩いてエビを食べに行こうとしたが、途中にある岩に頭が引っかかって前に進むことができなかったのである。

 彼の頭が巨大化した理由はいくつかある。敵に食べられにくくなる説、もぐったりういたりしやすくなる説、そしてモテるため説…。

 いずれにせよ、頭が巨大化したことで彼は栄えた。

 しかしそれは一時的にすぎず、今こうして彼の頭は、彼の行く手をはばむ最大の障害となりつつあった。

「なんたるブーメランであることか!」

 頭の形がこんなだけに…と、心の中でつぶやいた後、彼は岩から頭をぬこうとした。しかし、頭はぴくりとも動かぬ。

「ぬけないなら、俺にも考えがあるんだ!」

 そのまま彼は絶滅した。

ディプロカウルスは両生類なので、うまれたときはオタマジャクシのような形をしています。変態しておとなになっても足が小さいので、川底をはい回り、陸には上がらなかったでしょう。

若いときは頭の形は三角形ですが、成長するにつれ骨が左右にはり出して、ブーメラン形になります。

なぜこんな奇妙な頭になったのかは不明ですが、障害物が多い川底にひそむにはじゃまになり、絶滅したのかもしれません。

(本原稿は丸山貴史著『続 わけあって絶滅しました。――世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』の内容を編集して掲載しています)