Photo by Kazutoshi Sumitomo

 ソニー、パナソニックといった電機メーカーが苦境に立たされている中、電機産業を主要顧客としながらも急成長しているベンチャー企業がある。

 ヴィスコ・テクノロジーズは、工場の生産ラインで用いられる画像処理検査装置を開発・販売する企業。工場を持たないファブレスメーカーである。主な検査対象は、電子部品や半導体、太陽電池といった工業製品で、同社の検査装置は、製品の外観を識別するだけで、良品・不良品を振り分けることができる。

 現在、最も受注を伸ばしているのは携帯電話端末に搭載されているコネクタ(接続部分の電子部品)向けの検査装置だ。

 今や、国内外の携帯端末メーカーがヴィスコの実力を認めており、設立9年目のベンチャー企業がグローバルプレーヤーからの“ご指名”を受ける。

 携帯端末メーカーが、サプライヤーであるコネクタメーカーに対して、「ヴィスコ製検査装置で品質管理すること」を部品の採用基準として求めることもあるという。

 ヴィスコ社長の足立秀之は、幼少のころから戦国武将が好きだった。実力ある者が人の上に立ち、国を統べる弱肉強食の世界に憧れたときから、足立の起業家人生は始まっていたのかもしれない。

 大学時代の専攻は、産業用ロボット。従来、工場の生産現場で、人間が行ってきた作業や工程のほとんどを、いずれは産業用ロボットに任せられるようになる──。

 足立は、ファクトリー・オートメーション(工場における作業・工程の自動化)時代の到来を感じるとともに、「産業用ロボットと画像処理技術は切っても切れない」ことを実感した。画像処理技術を駆使した検査装置があれば、工業製品の検査工程を無人化できる。