ヒンドゥー教徒と仕事をする時、カーストは話題にしていいのか?

 一般論としてカーストの問題についてインド人に聞くと、「いや、今はそれほど問題ではありません」と、だいたいは答えます。カーストによる差別はインド憲法で禁止されています。カースト差別禁止の歴史で大きな貢献をしたのが、ダリット出身のアンベードカル。

 インド独立後にガンディー首相の下で法務大臣を務め、インド憲法の制定に尽力した人物で、カースト差別禁止を憲法の条項に入れました。

 また、「インドの人口の何%がバラモンで……」という割合は明確にはわかっていません。

 しかし、日本のビジネスパーソンが忘れてはいけないのは、大半のインド人のなかでは、「自分はこのカーストに属している。だからこの人は上で、この人は下だ」という心理が決して消えていないということです。

 たとえば、私のヒンドゥー教の友人は、折に触れ、「いや、僕はクシャトリアだから」と若干の誇りを込めて口にします。これは彼が特殊なのではなく、ヒンドゥー教徒が持つ一つの感覚。インドでは「あの人はこのカーストだ」というのはお互いわかっていて、カーストに応じてそれなりに距離を取っているようです。

 憲法上は禁止されていても、実際には結婚など多方面にわたって今もカーストの影響がおよんでいるのです。

 もしもあなたがヒンドゥー教徒と仕事をすることになったら、相手に「あなたのカーストは何ですか?」と尋ねるのは、あまりにも失礼で危険です。しかし、まったく知らずにいても何かの拍子でトラブルのもとになるかもしれません。

 もし可能であれば、同僚のヒンドゥー教徒の信頼できる人に、他の人たちのカーストについて、それとなく注意すべき事項を確認するといいでしょう。