プライバシー侵害の
リスクがある顔認証

 各社が実用化に躍起になっている顔認証決済だが、やはりリスクの問題は付きまとう。

「顔認証のプライバシーリスクは、撮影画像から抽出された特徴点をもとに追跡されることにあります。あとはセキュリティーの問題。顔が晒されているため、複製される可能性もゼロではなく、この点は決済システムで悪用されるかもしれません。その意味では、顔認証のリスクも顔認証決済のリスクも共通しています」

 顔認証によるプライバシーの侵害については、過去にも問題視されている。2014年、独立行政法人「情報通信研究機構」とJR西日本が、JR大阪駅の利用客を、カメラを使って追跡し動線を把握する実験を予定していたのだが、延期した。実験内容を発表した後に、「映りたくない」という声が寄せられたほか、市民団体が「憲法で保障されたプライバシーの権利への重大な侵害」と中止を要請したためだ。

「また、決済システムに応用された場合は、決済データの分析による趣味嗜好の把握などの問題が考えられます。ただし、これはQR決済やクレジットカード決済でもいえることなので、新しい論点というわけではありません」

 既存のキャッシュレス決済に対する問題と、顔認証に付随する問題が合わさる顔認証決済。しかし、石井氏は顔認証決済の同意書には、第三者への情報提供などが盛り込まれるケースも多いだろうと指摘する。

「日本で顔認証決済が実用化されると、利用者自身がサービスを理解した上で顔画像を事前に登録しますので、決済に使う範囲であればその利用は許容されます。データ転送の記述も説明書には書いてあるでしょう。最近はiPhoneXやAndroidでも顔認証が広まっていることなどから、自分の顔を登録することへの抵抗感は薄まっている印象です。ですから、ユーザーにとって、個人情報に対する問題への感度は下がっているかもしれません」