現在小売業界では、この過去の例に鑑み、今回はどのように消費が冷え込むかを予想することに力を入れています。特に前回は、住宅分野以外では政府がそれほど増税対策に力を入れなかったため、増税のインパクトがダイレクトに消費を冷やしました。今回導入された軽減税率やキャッシュレス決済時のポイント還元によって、それがどう緩和されるのかを含め、みんな高い関心を持っているのです。

 2014年4月、消費増税が行われた最初の月の世帯消費の冷え込みは、実質ベースでマイナス4.6%でした。前述した1年間の平均よりも増税直後の冷え込みは少ないですが、消費者も実感がわくまでに時間がかかるであろうことを考えると、「1ヵ月目はこんなもの」という感じでしょうか。

 しかし、月末になって家計簿をまとめてみると、みんな消費税が増えたことで家計が苦しくなっていることに気づく。だから増税後1ヵ月のタイムラグで2014年5月の消費はマイナス8.0%まで激減しました。増税による本格的な消費冷え込みは、1ヵ月遅れでやってきたのです。

消費者の財布の紐が本格的に
締まるまで3ヵ月のタイムラグ

 では、今回の増税ではどうなるのでしょう。冒頭で紹介したような「高いな」という経験をみな10月に実体験するので、11月から消費が減りそうなものですが、実はここに別の事情が関係してきます。ここが今回の増税の特殊事情です。

 先に結論を言いましょう。今回の増税で小売業界が本格的な消費の冷え込みを実感するのは、2020年1月から。消費者の財布の紐が本格的に固くなるまでに、約3ヵ月のタイムラグがあると思われます。

 そのタイムラグをもたらすものの正体は、クリスマスです。例年11月と12月は、1年で一番消費が活発になるシーズンです。2014年の増税時も、1年を通じて約マイナス5%に消費は冷え込みましたが、11月と12月だけは景気は2ポイントほど底上げされています。