民間住宅ローンとの比較も不可欠

  フラット35どうしの借り換えでは、住宅ローンと同時に加入する団体信用生命保険特約料の負担は、借り換え前後で変わらないため、考慮する必要がありませんでした。
  しかし、民間住宅ローンとフラット35の損得を比べる場合は、この負担も加味して、比較しなければなりません。フラット35では年1回の支払いが、返済終了の直前まで続くのに対して、民間住宅ローンでは、団信保険料が金利に含まれているからです。
  数字の根拠は本書『いますぐに、住宅ローンを借り換えしなさい!』をご覧いただくとして、この負担は年利換算で0.35%程度の金利負担に相当します。

  したがって、民間住宅ローン(保証料がかかるタイプ)は、「適用金利+0.2%」、フラット35は「適当金利+0.5%」(団信特約料:0.35%+融資事務手数料:0.15%)という実質金利に置き換えたうえで、この2つのローンは比べることになります。
  そうなると、7月時点のフラット35の実質金利は、2.44%前後(1.94%+0.5%)だということがわかるでしょう。

 実は、フラット35より有利な条件で設定されている民間住宅ローン(全期間固定金利型)も少なからずあります。また、本書で紹介した複数の金融機関では、さらに有利な「段階金利型ローン」(固定金利型の一種)を取り扱っているところもあります。

  さらに、固定金利選択型ローン(10年固定)では、前述のように1%台前半の金利水準を提示している金融機関も珍しくありません。
  本書では、「10年固定 VS 全期間固定金利型」における「損得分岐点レート」を算出し、一覧表で掲載していますので、比較する際にご活用ください。
  これは、筆者オリジナルの考え方で、「10年固定」を利用した場合、11年目以降の金利が平均で何%になると、「10年固定」と「全期間固定金利型」の返済総額が同じになるか(逆にいうと、平均で何%以下なら「10年固定」がトクになるか)、という金利水準を計算したものです。考え方や一例はこの連載の第3回でもふれますが、具体的な水準と詳しい活用法は本書をお読みいただければ幸いです。

 また、金利上昇リスクばかりが注意喚起される「変動金利型ローン」についても、いくつかシミュレーションを行っています(こちらは、連載の第4回目で概略をお伝えします)。結論としては、返済期間が20年~25年以内であれば、「金利ゼロ%台」の変動金利型ローンの金利上昇リスクは許容範囲といえそうです。

 次回以降でも、これらのローンの一部や、比較する際の考え方の概要をお伝えしますが、必要書類を準備して事前審査に申込み、本審査→融資の実行、となるまでは、最低でも2週間程度はかかるでしょう。人気があるとされる「ネット銀行」などでは、1ヵ月半ほどかかるケースもあるようです。

 できれば本書を手に取っていただき、早い段階で借り換えの準備を始めることを、まずはおすすめいたします。


【ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ】

定価:1,575円(税込) A5判・並製・256頁 ISBN978-4-478-022238

◆浅井秀一『いますぐに、住宅ローンを借り換えしなさい!』
「ゆとり返済」の危険性に最も早く警鐘を鳴らし、かつての「繰り上げ返済・借り換えブーム」の仕掛け人となった、ファイナンシャル・プランナー・浅井秀一が、緊急出版。住宅ローン金利が史上最低水準になったいま、「最大の借り換えチャンス」ともいうべき状況がやってきていると著者は主張します。諸費用をほぼすべて含めて借り換えしても、固定金利どうしの場合、いま返済している住宅ローンより実質金利が「0.3%程度」以上低ければ、大きな借り換え効果が確定するでしょう。住宅ローンを借りているすべての方に読んでいただきたい一冊です。

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