Fさん「(若手が休んだり辞めたりするのは)採用に問題があるんじゃないですか? 仕事は遅いし、正確さを欠く。約束の時間を守らない。自分から考えて訊いてくるということもない。研修をしっかりやってほしいですね」
人事に対してストレートな批判をしてきましたが、そのままムキになって受け答えはしません。可能な限り、Fさんサイドに立った姿勢で、現場での部下指導の苦労について教えてもらいます。
Fさん「後輩のできが悪くても、先輩がそれに合わせなくてはいけないのですか?」
やや喧嘩腰になってきても、こちらは柔らかい姿勢を決して崩しません。
さらに、Fさんが新入社員だった頃の思いや、周囲の若手社員をどのように受け止めてきたかも訊いていきます。
キャリアコンサルタント「Fさんから見て、部下がいちばん伸びたと感じたことがあれば、話してみてもらえるかな」
キャリアコンサルタント「どういう指導をした時に、結果的に部下は気づきますか?」
キャリアコンサルタント「自分の時はどうでしたか?」
キャリアコンサルタント「部下に対しては、誰にでも自分のスタイルで同じ教え方をしていませんか?」
そんな質問を繰り返すうちに、こちらが話す前に、Fさんが自分で整理をし始めます。
Fさん「いままで社内外の研修で部下指導についていろいろ教わってきましたが、それを研修通りには使えていませんね。もしかすると、これまでの部下には自分がつぶしてしまっていた社員がいるかもしれない」
徐々に自らにも問題点があることに気づいたようです。
キャリアコンサルタント「仕事がどんなにうまくいっても、周囲で傷む人が出たり、トラブルがありそうな時、相談できる先輩になっていないと、結局、自分が困ることになるんじゃないかな」