改革にあたっては、国もその責任の一部を負う観点から、毎年約3400億円の財政支援(公費拡充)を新たに行っている(図表2の参考の(2)と(3))。

 さらに、政府は、赤字である市町村及び都道府県に対し、目標年次や削減予定額などを定めた赤字解消計画の策定を要請している。

 赤字削減計画を作り公表することで、関係者の間で課題を共有するとともに、計画の進捗状況に応じて、保険者努力支援制度(都道府県や市町村の医療費適正化や予防・健康づくり等の取り組み状況に応じた、都道府県や市町村への財政的な支援)での予算配分に傾斜をつける仕組みを強化する方針も出されている。

 国保の都道府県単位化によって、国民皆保険の最後のとりでともいわれる国保の持続性は確保されるだろうか。

 現状では、医療費水準は市町村によって差があり、所得水準は同一の都道府県内であっても多様である。長らく市町村ごと別個に運営されてきたこれまでの経緯もあるため、実際の保険料率や給付額は、さまざま事情を考慮して決められている。

 方向性としては医療保険としての標準化を志向しているが、一部には都道府県単位化によって、市町村によっては保険料が上昇したことや上昇することを問題視する声もあるようだ。

 また受益と負担のバランスも依然としてとれておらず、地域保険としての健全性や公正性を確保するためには、医療費水準に見合った保険料を設定するなどして法定外繰入などを解消することが喫緊の課題だ。

「保険料の統一」を目指す意味
主体的に格差を是正する機会

 安倍政権が9月18日に発足させた全世代型社会保障検討会議で、国保改革がどこまで取り上げられるかはまだ分からない。

 だが、9月30日に開催された経済財政諮問会議では、民間議員が、国保の法定外繰入等の早期解消や、受益と負担の見える化に取り組む都道府県の先進・優良事例の全国展開、保険者努力支援制度等の強化などを、重点課題に掲げた。

 また政府は、国保の都道府県内の保険料水準を将来的に統一する(同じ都道府県内において、同じ所得水準・同じ世帯構成であれば、同じ保険料水準にする)ことを目指している。
 
 すでにその検討や取り組みに前向きに着手している先進的な自治体が見られているが、そこには多くの課題もある。