情報に意味付けをして
上下左右に流すのがマネジャーの役割
私が以前上司から言われた言葉に「マネジャーの役割はネットワーキングだ」というものがあります。これは、「社内外に人脈を作り、自分の部下やチームがコラボレーションした方が良いと思うような人を持っておくこと」という意味です。
私のチームでは、プロダクトを構成する要素技術を開発していました。要素技術は使われて初めて意味を持ち、世の中にインパクトを生み出せます。ですから自分たちだけで完結するのではなく、化学反応が起きる可能性のある協業相手を社内外に持っていることが大事です。
また、そういった人たちの課題に常に触れていることが次の開発のネタになります。私の場合は技術開発でしたが、ほかの職種でも同じだと思います。別の上司は「マネジャーは自分の部署の営業マンになれ」と言っていましたが、これも同じことを別の言葉で表すものでしょう。
社内外にネットワークを持つことは、自分の部下が困っているときに相談できる人を知っておくことでもあります。部下からの相談は上司である私が受けますが、私が全ての技術について深く知っているわけではありません。仮に知っていて助言が可能だったとしても、いろんな観点からのアドバイスも貴重です。そのような相手を結び付けることもマネジャーの役割でしょう。マネジャーは情報を上から下だけでなく、このように「下から上」「下から横」へも情報に意味付けをして流すことが必要です。
マネジャーの役割は、情報をきちんと自分たちのコンテキストに色づけして流すこと。上から下への情報も「社長がこう言っているから」「会社の方針だから」などと自分が理解することを放棄したまま部下に流すのでは意味がありません。マネジャーは経営側であることを理解し、会社の方針を自分ごととして理解できるように伝える義務があります。