政府は7月11日、国家戦略会議を開いて、「日本再生戦略(案)」を取りまとめた。これは、2020年までのわが国の進むべき道を明らかにしたもので、11の成長戦略と38の重点施策が明示され、各戦略毎に改革工程表が付けられている。いずれ、閣議決定がなされる予定だ。

 しかし、このように重要な戦略の割には、メディアの取り扱いは、今までのところ、冷淡であって、一向に議論が盛り上がる気配が感じられない。日本再生戦略(案)は、なぜ不人気なのだろうか。

現状認識は概ね正しい

 日本再生戦略(案)は、次のように全体で5つのパートから構成されている。

 総論
  震災・原発事故からの復活
  デフレ脱却と中長期的な経済財政運営
  日本再生のための具体策
  戦略の継続的な実効性の確保~本格的なPDCAサイクルによる戦略実現~

 まず、I.総論、では、「わが国が直面する現状・課題」について述べられているが、その順序は、少子高齢化、わが国経済のグローバル化への対応の遅れ(≒競争力の低下)、財政状況の悪化等々であり、これは、わが国の現状認識としては、概ね正しいのではないだろうか。

 そして、以上の3点を基因として、厳しい経済状況が長引く中で、格差問題に対する懸念が高まり、かつてわが国の経済・社会の基盤を支えていた分厚い中間層が縮小し始めており、社会に閉鎖感が生まれていると続け、キャッチアップ型の国づくりから脱皮し、世界のフロントランナーとして課題解決先進国となるべきだ、と結論付けている。こうしたロジックは、広く市民にも受け入れられるのではないか。