具体的には、長期のバイ・アンド・ホールド(持ち切り)を中心に投資戦略を考える。どうしても個別銘柄を売買したいときは、例えば、最も出来高が多く注文が集中するのは一般に東証の寄り付きなので、売買注文は「寄り付き・成り行き」に決めておくような、「ゆっくり」かつ「シンプル」なスタイルでいいのではないだろうか。売買テクニック以外のポイントで勝負するのだと考えよう。

「寄り付き」の株価が思ったよりも有利な場合も不利な場合もあるだろうが、長い目で見ると有利・不利は半々だろうし、仮に不利でも長い投資期間で「期間当たりのコスト負担」で考えると損害は軽微だと割り切るのだ。

自分はちゃっかり収益を稼ぎながら
HFT業者と「喰われた投資家」に感謝する方法

 最後に、ご存じない投資家には「耳より」であるかもしれない情報をお伝えしよう。長期に保有する株式、あるいはETFは、保有ポートフォリオを貸株に回すと、例えば年率0.1%といった利息のかたちで品貸し料が得られる。

 特にETFの投資家は、例えば東証株価指数(TOPIX)連動のETFを持っていると、運用管理費用(信託報酬)が年率約0.1%前後掛かるが、品貸し料で年率0.1%の収益があると、実質ほとんどゼロコストでインデックスファンドを持ち続けることができる。外国株式のETFなどでも、品貸し料を得ることができるので、調べてみて、納得できたら利用してみてほしい。

 ネット証券をお使いの方は、ホームページで「国内株式」のカテゴリーを見て、「貸株」、さらに「貸株利息」といった分岐に進んでETF等の銘柄コードで検索すると、お持ちの銘柄の品貸し料が分かるはずだ。

 ところで、現在、株式を売って現金を手に入れても、ゼロないしマイナス金利なので、プラスの利息(品貸し料)が得られるのは、一昔前の常識からすると、少々不思議に思えないだろうか。これは、ETF等を利用することによってメリットを得ている業者(おそらくはHFT業者)がいるからで、彼らが利益を得られるのは、一般投資家の注文が利用されているからだと考えられよう。

 長期投資家は、ETF等をじっくり保有しつつ、品貸し料を得てもいい。そして、HFT業者とHFT業者に「喰われている」一般投資家に静かに感謝するのだ。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

証券の「手数料ゼロ」は要注意!投資家が理解すべき構造変化とは?この連載の著者、山崎さんと直接会って話ができる!お金について一緒に勉強したい人のためのオンラインサロンが誕生しました。詳しくはこちら
関連記事:【SBI証券、決算会見で北尾社長がぶち上げた「手数料ゼロ」の衝撃【決算報19秋】】を読む