最も望ましいシナリオであるケースIの場合の年金受給開始時の所得代替率は、今60歳の方々は60.9%(61.7%に対する減少率1.3%)、50歳で57.2%(減少率7.3%)となります。真ん中のシナリオであるケースIIIの場合、60歳で60.2%(減少率2.4%)、50歳で56.6%(減少率8.3%)となり、悪いシナリオであるケースVの場合は、60歳で60.1%(減少率2.6%)、50歳で54.2%(減少率12.2%)となります。ここからわかるのは、今、50代以降のオヤジたちにとっては、どのケースになっても、せいぜい10%程度の減少であり、影響はあまり大きくありません。読者の皆さんは比較的安泰なのです。

若手は年金の減額幅が大きい

 では、若手の年金額はどうなるのでしょうか?ケースIで今40歳の年金受給開始時の所得代替率は52.4%(減少率15.1%)、30歳で51.9%(減少率15.9%)となります。最も良いシナリオであるケースIが実現した場合であっても、30歳の年金は目標である50%をギリギリで達成できる状況となります。真ん中のシナリオであるケースIIIとなったら、40歳で51.7%(減少率16.2%)、30歳で50.8%(減少率17.7%)となり、悪いシナリオのケースVの場合には、40歳で49.6%(減少率19.6%)、30歳で45.6%(減少率26.1%)となります。したがって、若手の場合には、年金額が今65歳の人に比べて20%程度は削減される可能性があることを肝に銘じておく必要があるでしょう。

年金には“逃げ切り”はない

 このように世代ごとに年金額の減少率をまとめると、50代以降のオヤジたちの中には、「やった!俺たちは逃げ切れた!!」と楽観する人もいるかもしれません。でも、それは違います。今の年金制度では受給する年金額は徐々に減っていきます。例えば、今60歳の場合、年金受給開始時には夫婦2人で22.1万円となっていますが、真ん中のケースIIIでは90歳で19.6万円まで下がります。同様に、今50歳の場合、年金受給開始時には23.2万円となっていますが、90歳には219万円まで下がります。つまり、受給し始めたからといって、そこで年金額が確定するわけではなく、年金額は徐々に減少していくのです。