なぜ、このように年金額が減少するのでしょうか?それは「100年安心」の年金制度には、受給者と勤労世代のバランスをとるために「マクロ経済スライド」という自動年金削減システムが導入されているからです。このシステムには保険料を払う勤労世代の減少や平均余命の延びが年金制度に与える悪影響を抑制する効果があるのですが、一個人の立場から見れば、年金額の減少ということになるのです。

年金額は個人ごとに異なる

 ここまで平均賃金をベースに算出された将来の年金額を世代ごとに見てきましたが、サラリーマンのオヤジたちが加入する厚生年金は、実際には個々の給料水準に比例した制度となっています。つまり、現役時代の給料が高いほど多くの保険料を払っているため、年金額も高くなる制度なのです(逆も同様)。一方、公的年金は相互扶助の制度であるため、所得代替率の観点からは給料が高い人ほど代替率は低くなります。したがって、今回の平均賃金を用いた所得代替率の議論をそのまま自分自身に当てはめることは少し短絡的かもしれません。

 幸いにも、今回の財政検証を細かく見ると、賃金水準別に所得代替率の推移も推計されています。個別性が高くなるため、ここでは詳細には触れませんでしたが、関心のある方はそれを確認してみてください。

今回の川柳
年金の 減少続くよ どこまでも

(アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長 後藤順一郎)

※本記事中の発言は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属するアライアンス・バーンスタイン株式会社の見解ではありません。