歴史とエンターテインメントは別

出口 歴史とエンターテインメントは、まったく別ものです。
 あえて固有名詞はあげませんが、書店に並んでいる多くの陰謀論の類とか、有名作家の書いている作品は、司馬遼太郎さんを含めてエンタメが多いですね。
 呉座勇一(ござ・ゆういち)という先生がいます。
 呉座先生の『陰謀の日本中世史』(KADOKAWA)はすごくわかりやすい良書です。
 先生が書いているのは極めて簡単なことです。
 みんなは、本能寺の変とか大好きだから秀吉が黒幕、いや、家康だ、天皇だ、イエズス会だとか、本能寺の黒幕の本を書いたら必ず売れると。
 でも、歴史学者が普通に分析したら、明智光秀の単独犯以外はありえないという答えが出ているのだと。
 呉座先生はそう書いているし、次のように述べている。

これまで、歴史学者は、一般の歴史作家が何を書こうとも、ひたすら黙っていた。でもそれがやがてフェイクニュースの温床になる。だから「間違いは間違い」だとはっきりいわなければいけないという気持ちを込めてこの本を書かれたのです。
 書店で「陰謀論」とか、「誰も知らなかった●●」などというタイトルを見たら、まず疑ってみてください。

――ありがとうございます。

出口 歴史は難しいことは何もなく、実はすごくシンプルなものなのです。
 一流の学者はきちんと勉強しているので、その人の本をきっちり読めばいいのです。

――ありがとうございました。