「センナはさらに怖いですよ。センナと酸化マグネシウムの決定的な違いは、習慣性と依存性、そして薬剤耐性があることです。

 習慣性とは、ある薬を飲むことがクセになってしまうこと、依存性とは、習慣性になった揚げ句、その薬なしでは生きていけない状態。薬剤耐性は、繰り返し服用しているうちに効かなくなってくること。そのため、最初のうちは決められた用量を守っていても、やがて効きが悪くなってくると、同じ効果を得るために飲む量がどんどん増えていく。もはや麻薬中毒患者です。

 それにセンナは大量に飲み続けていると、大腸が動かなくなってしまいます。本来、大腸が行うべき役割をセンナが代行してしまうため、自力で動く必要がなくなった大腸は、使わない筋肉が萎えていくように、徐々に機能が低下してしまうのです。

 健康な大腸には一定の緊張があるため、自らをギューッと絞ったり、広げたりすることで、排便を可能にする力があります。ところがセンナを常用し過ぎると、その緊張が失われ、腸はダラーっと弛緩します。その状態に陥ってしまうと、もはや治療をしても、便秘の改善は望めません」

慢性便秘症の人は
そうでない人より生存率が低い

 薬は、用法・用量を守って正しく服用しなくてはならない、というのは常識だが、便秘薬に限っては、守らない人が多いというのは、やはり「たかが便秘」であり、「たかが便秘薬」と軽視してしまう傾向があるからだろうか。

「あると思いますね。それは患者さんだけでなく、医師の側にもある。エビデンスのある正しい治療法を普及させるために、日本消化器学会関連研究会、慢性便秘の診断・治療研究会では、2017年に『慢性便秘症治療ガイドライン』(南江堂)を発行しました。当初は売れないだろうと思われていましたが、実際には、何万部も購入されています。

 問題意識を持っている医師が想像以上に多くいた証であり、ガイドラインの需要は高いと理解しています。2020年には改訂版を出しますよ」

 米国の調査では、便秘の人とそうでない人を比べると、便秘の人は生存率が低いというデータもあるという。

便秘の人は生存率が低いというデータ慢性便秘がある人(622人、平均年齢59歳)とない人(3311人、同53歳)の生存状況を15年間追跡したところ、便秘がある人の方が、生存率が有意に低下していた。(出典:Chang JY, et al. Am J Gastroenterol. 2010 Apr;105(4):822-32.)