小格差国から中格差国へ、そして超格差国の仲間入り?

 図2は、図1の所得格差(横軸)を対象国別にならべたものです。上位20%の富裕層の平均所得を下位20%の貧困層の平均所得で割った所得倍率です。情報源は、国連開発計画・人間開発報告書で示された2003~06年のデータです(ウィルキンソン氏に確認済み)。

 そこで、筆者が同じ情報源にある最新データ(2010~17年)を用いて、所得格差を国際比較したのが図3です。日本は3.4倍から5.6倍と、10年たらずで格差が広がり、右側の高格差国に仲間入りしていることがわかります。

◆図2 所得上位20%の人は、下位20%の人より、どれほど金持ちなのか?(2003~06年データ)

◆図3 所得上位20%の人は、下位20%の人より、どれほど金持ちなのか?(2010~17年データ)

出所:United Nations, Development Programme, Human Development Indicatorsより筆者がグラフ化 拡大画像表示

格差拡大で日本の劣化が進んでいる

 ウィルキンソン氏の研究結果に従うと、日本では格差が拡大した分、人の健康も社会問題も悪化しているはずです。これを同氏が当時使った統計データの最新版で確かめたいところです。しかし残念ながら継続的にとられていないデータも多く、変化を正しく捉えられないため、別のデータに目を向けてみることにしましょう。

 すると、確かに昨今の日本の劣化を示すものは多くあります。例えば、精神疾患による患者数は、2002年の約258万人から2017年には419万人に(厚生労働省・患者調査)、肥満率も、1997年の男性23.3%・女性20.9%から2017年には男性30.7%・女性21.9%と増えています(厚生労働省・国民健康栄養調査)。

 ここ20年間(1996年~2016年)の刑法犯の認知件数を見ると、戦後最多を記録した2002年以降は全般的に減少傾向にあるものの、犯罪別では悪化しているものが多くあります。傷害は約1万8000件から約2万4000件に、暴行は約6500件から約3万2000件に、脅迫は約1000件から約4000件に、強制わいせつが約4000件から約6000件に、公務執行妨害が約1400件から約2500件に、住居侵入が約1万2000件から約1万6000件に、器物損壊が約4万件から約10万件に、それぞれ増加しています。

 また2013年あたりから振り込め詐欺の増加に伴い、詐欺事件が約3万8000件から約4万3000件に増えています(法務省・犯罪白書)。こうした犯罪の増加も影響してか、他人を信用する割合も、2000年の40%から2010年には36%に低下しています(World Values Survey)。さらに、日本人の国語力や数学力の低下を指摘する調査や文献も多くでてきています。