実は、FCAとPSAの協力関係はすでに40年前から始まっている。1978年に合弁でLCV(小型商用車)生産会社のSEVLを立ち上げ、81年にSEVL南工場がイタリアで生産を開始した。その後、SEVLはアルゼンチンに工場進出したほか、93年にはフランスにSEVL北工場を建設した。SEVL北工場は2012年にPSA全額出資となったが、南工場の合弁契約は23年まで延長されている。

PSAとFCAは
どんな青写真を描いているのか

 欧州市場では、乗用車とともにLCVが重要なビジネスであり、ルノーが日産に出資した理由のひとつも1999年当時のLCVシェアで首位を獲得する狙いがあったからだ。その後、日産はルノーとオペル(現在はPSAグループの一員)にスペイン工場製商用車を供給し、日本でも人気のあるルノー・カングーは日産のエンブレムを装着した仕様が欧州で販売されていた。

 合併後の計画についてPSAのカルロス・タバレスCEO(最高経営責任者)は、「PSAのプジョー、シトロエン、DS、オペル、ボグゾールの5ブランドと、FCAのフィアット、アルファロメオ、マセラティ、ランチア、アバルト、クライスラー、ダッジ、ジープ、ラムの9ブランドをすべて存続させる」と発言している。

 PSAは2017年に旧GMグループのオペル/ボグゾールを買収し傘下に収め、新開発したプラットフォーム(車両の基本骨格)を両ブランドに適用させる計画を進めている。FCAの中核を担うフィアットは、05年までGMグループの一員だったが、現在は自社開発のプラットフォームへの転換をほぼ終了している。

 自動車メーカー同士の合併や連携の大きな目的は、車両プラットフォームを共通化して開発・製造コストを削減する点にある。PSAとFCAはそれぞれにプラットフォーム展開を行っており、これを統合するとなれば、コスト面は改善されるが、それには4~5年程度の時間が必要になる。現時点で予想されるメリットは、部品の共同購入や開発投資の一元化になる。ところが、これも一朝一夕にはできるものではない。

 グループ販売台数で世界第4位になるということだけでは経営上のメリットにならない。PSAとFCAがどんな青写真を描いているのか、次第に明らかになるだろう。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)

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