食事・睡眠・運動で
「NO」を出して血圧を下げる

 では、「NO」の働きを具体的に見ていきましょう。

(1)血圧を安定させる

「NO」のもっとも重要な働きは、「血管を押し広げ、血流をよくし、血圧を安定させる」ことです。逆に言うと、「血圧が高い人」「血流が悪い人」は、NOが不足している可能性が高いと言ってもいいでしょう。

(2)傷ついた血管を修復

「NO」は、「血管内皮細胞にできた傷やコブを修復し、動脈硬化を予防する」働きをしています。また、血小板が凝集して血栓(血のかたまり)ができるのを防ぎ、血管が詰まる原因を取り除きます。

 エコノミー症候群がマスコミなどで取り上げられるようになって、「血栓」をいかに作らないようにすることが大切か多くの方に知られるようになりました。血栓は脳梗塞、心筋梗塞の原因にもなります。

 このように、「NO」は、“血管のメンテナンス係”の役割があり、分泌量が減ると、血管はお手入れされないまま、“荒れ放題”になってしまいます。

(3)動脈硬化を予防

 最近では、「血管内皮細胞の衰えが動脈硬化の始まり」と考えられています。生理的な加齢に加え、悪しき生活習慣や生活習慣病によって血管内皮細胞が傷害を受けると、「NO」の分泌が少なくなり、ますます血管内皮細胞の傷害が進むという悪循環に陥ってしまいます。「NO」の分泌を促し、この悪循環を開始させないこと、ストップさせることが重要なのです。

「NO」のすごさ、ご理解いただけたでしょうか。血管を広げて血流をよくし、さらにしなやかで弾力のある血管を維持するために働いてくれる「NO」は、末梢血管を開き、血圧を下げてくれる強い味方なのです。

「NO」を出すためにはなんといっても生活習慣の改善、つまり食事・睡眠・運動の工夫や禁煙などが大事です。

 つまり、末梢血管を鍛えて、末梢血管がなるべく開くためには、自律神経をコントロールすること、NOをしっかり出す生活をするということなのです。その先には上腕血圧や中心血圧が下がり、動脈硬化の進行がゆっくりになるとともに、心臓がラクになるという、とても明るい未来が待っているのです。

 それでは次回からは、池谷式末梢血管を鍛える生活習慣上のコツをご紹介していきましょう。