「社長の交代」が職場の空気を変える

 最もドラスティックな変化を起こすのは、結論から言うと「社長の変化」です。
「社長が代わったら、社風が大きく変わった」という傾向は、企業がドラスティックに変わるときによく聞く話です。ただ、このとき大事なのは当然、社長が交代することそれ自体ではなく、それにより何が変わるか、ということなのです。

 たとえば、IT業界の巨人、日本マイクロソフトは2010年代の中ごろから数年で、組織の風土があきらかに変わったことが観測できる。こういうクチコミが散見されるようになりました。

・CEOが代わってから社会や人全般に対する企業ミッションへの意識が高まり、従業員の士気も高い
・新CEOのサティア・ナデラに代わってから、大きくクラウド事業に舵を切り、組織、その人材も少しずつ刷新してきていて、以前のイメージと大きく変わった
・会社全体として覇気があり、自社製品に自信をもつ社員が多い。とくにCEOがサティア・ナデラに交代してから社内文化の充実が進み、いい方向にいっていると思う

 サティア・ナデラは、2014年2月からマイクロソフトの3代目のCEOに就任しています。実際、日本マイクロソフトの「e-NPS(従業員満足度を測る指標)」は、2014年からの4年間で、6.31から、7.03に変化を遂げています。

 最後にこの質問で終わりたいと思います。私が以前、地方で経営者200名に講演したときに受けた質問への答えです。そのときの質問は「優秀な若手が10年経たずにやめてしまう。どうすればいいのか」ということでした。そのときの私の答えはこうです。

 「社長、あなた自身が変化していますか?」

 社長自身が、変化する。それが組織を変えるキッカケになるのです。