階層は「ルーティンワーク」と「プロジェクトワーク」の割合で決まる

「ルーティンワーク」と「プロジェクトワーク」の業務割合は、実際にどれだけ組織の階層が必要か、を決定づける面があります。
 たとえば、ルーティンワークが多い組織では、

組織は正しい順番で、決められたことを確実にやったほうがいい

そのためには、「経験豊富な人から、経験が浅い人へ」「意思決定者から現場へ」の指示系統があったほうがいい

したがって、階層は比較的多めになる。

 これは、オープネスとは別の視点の話です。
 一方で、プロジェクトワークが多い組織では、求められる仕事は、その目的によって大きく変わります。この際、大事なのは「組み合わせ」です。どんな個性や強みをもった人を、どんな組み合わせにすればよいか、が大事になります。漫画『ONE PIECE』をイメージすればわかりやすいですが、環境変化が激しく、どんな敵と戦うかわからない状態では、一人ひとりのパフォーマンスを最大化させる戦い方、言い換えれば、一人ひとりが自分の頭で考えながら仕事を進めるほうが強いのです。

 その結果、「階層を多くする」インセンティブが弱く、「従業員一人ひとりが、その場に応じて、最適な意思決定を行えること」が重要になります。言い換えれば、権限や裁量権は個人に対して与えたほうが効率はいい。だから、階層は少なくても成り立つ。たとえば、コンサルティングファームなどの業種では、プロジェクト型の業務が多く、ティール型に近い組織(=階層が少ない)は理論上発生しやすいわけです。
 反対に、組織が大きくなればなるほど階層が必要になるのは、プロジェクトワークに対 して、ルーティンワークの割合が増えていくためです。

 つまり、フラットな組織であるべきか、どうか、というのは実際のところ、事業の特性と、戦い方による、というのが現実なのです。加えて、エーリッヒフロムが自由からの逃走で述べたように、実は人は過度なフラットさ、までは求めていないのです。重要なのは、『OPENNESS  職場の「空気」が結果を決める』で述べたように、「期待値を超える」ことなのです。