「なんで、なんで、なんで」を最低3回
最後にひと言、つけ加えたいと思います。
科学は常識を疑うところから始まる。
それを教えるのが大学であり、リベラルアーツの根源だと考えています。
先ほど、ロドリーグ先生が“So what”というキーワードを提示されました。
「なんで、なんで、なんで」を最低3回ぐらい繰り返そう。
なんでこうなっているの? なんでそうなのか?
その癖をつけることで、人間はパスカルがいった「考える葦」に育っていくのだろうと思います。
でも、そういう思考を前提として我々は、
「星のかけらからできて星のかけらに戻る」
「次の世代のために生きている」
という当たり前のことを共通項としてすべての前提に置かなければいけない。
たとえば、ホモ・サピエンスの20万年史を見ていると、ホモ・サピエンスは集団保育によって社会性を養ってきた動物だということがわかります。
こんな当たり前のことがわかれば、保育園で育てることが、ホモ・サピエンスにとっては正常な姿であり、日本の3歳児神話のような、お母さんが子どもの面倒を見るということがゆがんだ姿であるということも簡単にわかるわけです。
そういう意味では、これからのいろいろな問題を考えていく大前提に「ビッグヒストリー」があるというのは、僕自身もそのとおりだと思いますし、こういうすばらしいセッションを開いていただいた桜美林大学および関係者のみなさんに敬意を表します。
それとともに、僕のような素人を講師で呼んでいただいて、本当に光栄に思います。
ありがとうございました。
(拍手)
過去の僕の『哲学と宗教全史』全連載は「連載バックナンバー」にありますので、ぜひご覧いただき、楽しんでいただけたらと思います。