また先日は、先生に夜中にメールを送ったら怒られてしまいました。「昭和の時代は時を過ぎれば、電話するにも『夜分遅く申しわけございません……』が常識だった。上の世代の人と、どこで縁があるかわからない。だからきちんと準備をしておきなさい」というのが先生の考えです。それ以降、僕は先生には22時以降はメールを控えています。
 先生は、礼儀についてはとても厳しく、他にも「ご飯をご馳走になったら改めて翌朝にお礼の連絡を入れなさい」「稽古に知り合いを連れてきたら、道場にいるメンバー全員にあいさつさせるんだよ」と僕が思いもよらなかったことを教えてもらいました。

「自分の頭」で考える

 こうした上下関係や礼儀作法を「不合理だ」「時代に合わない」と笑うことは簡単です。しかし僕にとって、理不尽は「自分の頭で考える」ための、とてもいい練習になっています。
先生は頭ごなしに注意しているように見えて、しかるべきタイミングできちんと根拠も示してくれます。そのタイミングは気分ではありません。「今、伝えればわかるだろう」と考えてくれています。
 それを聞くと「ああ、なるほど」と察しのよくない僕でも理解できる。注意をされつつもその真意を自分なりに考えるようになりました。

 垂れ幕が両端にあるなら、自分から先輩方に「そっちも自分たちがやりますから、先輩方は先に休んでいてください」と声かけをする。事前にグループを作って二手に分けて同時に片付ける。よく考えれば、いくらでも解決する方法はあるわけです。