米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の注目記事を短時間でまとめ読みできてしまう「WSJ3分解説」。今回は、米中貿易協定の第1段階合意について取り上げます。合意を受けて株式市場は歓迎ムードですが、実現可能なのかを懐疑的に見る声も大きくなっています。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
合意直後から露呈した
米中両国の溝
12月13日、米中貿易協定の第1段階合意が両国政府から正式に発表されました。米国は早速、15日に予定していた追加関税の発動は見送りました。
世界の二大経済大国の貿易がより活発化すると見て、世界の株式市場では株価が上昇。16日の米ニューヨークダウ平均株価の終値は、前週末から100ドル51セント高い2万8235ドル51セントで過去最高値を更新した他、中国・香港株式市場や日経平均株価など、アジアの主要市場でも軒並み株価が上昇しました。
ところが、一件落着とはなりそうもありません。のっけから両国の溝が露呈しています。
●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>> 米中貿易交渉、「第1段階の合意」 追加関税回避
上記の米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記事では、次のように報じています。
「ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、米国が関税率を段階的に引き下げることで合意したとする中国当局者の発言に対し、その点では合意していないと語った」
さらに、「関税の引き下げ幅や、米農産品の購入規模など具体的内容の公表は避けた」(WSJ)状態で、合意したとはいえ、その具体的な内容は発表されていません。
ライトハイザーUSTR代表が「中国が偽造品、特許・商標問題、医薬品の権利など知的財産に関して具体的な約束を交わしたと説明した。約束の内容は今後発表するとしている」とWSJが報じたように、第1段階合意は生煮えの状態であることが読み取れます。