また、調査の進捗状況について、「量的に言えば5合目を超えたが、質的な意味では分からない。調査を進めると奥が深い問題が出てきた」とし、「年内に報告書をまとめるのは、もはやまったく無理」と越年する方針を明らかにした。
岩根社長は調査報告後に辞任する意向を示していた。このため、空席となっている会長職に加えて岩根社長の後任人事も年をまたぐ見通しだ。
社外取締役らでつくる「人事・報酬等諮問委員会」で、現在の取締役6人から内部昇格させる方針は決まっている。さて、この中で次期社長として有力なのは誰か。
次期社長レース筆頭は森本副社長
改革派の稲田副社長は劣勢に
次期社長レースの先頭を走るのは、森本孝副社長(64歳)だ。
森本氏は企画や営業部門が長く、電力業界関係者によれば、手堅さと安定感に定評がある。
岩根社長はすでに表舞台から姿を消し、大手電力会社10社でつくる電気事業連合会の会長職は辞任した。各社の社長が集う電事連の定例会合には現在、関電の事実上の“顔”として森本氏が出席している。
森本氏の対抗馬は、稲田浩二副社長(59歳)だ。今年6月の株主総会で常務から副社長に昇格。通信や企画畑を中心に歩み、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進役を担っている。
稲田氏は岩根社長の懐刀とも言われ、今年の株主総会で副社長に昇格したのも、岩根社長が引き上げたというのがもっぱらの評判。つまり、岩根社長は稲田氏を次期社長候補として期待していた節がある。
岩根社長は、原発の再稼働促進はもちろんのこと、DXの実現に意欲を示していた。だからこそ、稲田氏の担務にIT戦略室を付けたとみられる。